現地レポート:バルカン半島4ヶ国周遊、FIT向けにテーマのある旅を

  • 2013年4月16日

バルカン半島で複雑な歴史と世界遺産をめぐる
新デスティネーションとして高い潜在力

マケドニアの世界遺産、オフリド湖付近には教会が点在。写真は聖ナウム修道院で、10世紀初頭に建造された   ほんの10数年前まで「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれ民族紛争を繰り返してきたバルカン半島。旧ユーゴスラビアだった地域の地図はすっかり塗り替えられ、ここ数年でいくつもの新しい国が誕生した。世界遺産も数多く、今ではFITを中心に「珍しい旅先」をめざす旅行者に注目されており、訪れる人の数も増えている。バルカン半島の4つの国々をめぐるFAMトリップに参加し、現地の状況を視察した。


多彩な歴史が残るバルカン半島
紛争後は治安も回復、インフラ整備が進む

アルバニアの首都ティラナではモスクを訪問。内部では美しい装飾文様が楽しめる  今回訪れたのはマケドニア、アルバニア、モンテネグロ、コソボ。このエリアは古くからビザンチン、ローマ、オスマントルコといった帝国による侵略と支配が繰り返されたところだ。旧ユーゴスラビアの解体や古代から現代にいたるまで歴史を紐解けば、どの国も複雑で非常に興味深い。

 特にコソボはNATO(北大西洋条約機構)軍が空爆を実施したり虐殺事件が起きたりと、10年ほど前まで紛争の様子が日本でも連日報道されていた。また、この4ヶ国で唯一、旧ユーゴスラビアの構成員ではないアルバニアも、1990年代後半まで50年にわたって事実上の鎖国をしており、バルカン半島はインフラ整備が決定的に遅れているといわれていた。

アルバニアのベラットの城塞から旧市街を見下ろす。オスム川をはさんで両岸に旧市街が広がる  しかし、紛争が落ち着いて以来、紛争で破壊された、あるいは鎖国のため遅れていたインフラについては徐々に整備されつつある。都市間は公共の長距離バスが走っており、FITでの移動も可能。ホテルやレストランも数多く、土産物屋もスーパーマーケットも十分な品揃えだ。

 また、治安は物乞いやスリや置き引きなどはあるものの、一般的な旅行先のレベルだ。対立する民族間で小さな小競り合いがある場所もあるとは聞いているが、今回視察したような観光地の雰囲気は平和そのもの。夜間の外出もそう不安ではなく、海外で旅行者が持つべき警戒心があれば気軽に旅ができるだろう。とはいえ、ガイドブックにも情報が少なく、“上級者向け”のイメージがあるのが現状だ。