上期商品は旅行会社の力を前面に-店頭との連携重視、教育を強化

  • 2013年3月14日

 この数年、大手ホールセラーのブランド商品は「質」や「価値」を重視した展開が続いている。2013年上期はさらに進化し、旅行会社ならではの力を打ち出す傾向が強まった。しかし、その観点や方法はそれぞれ異なり、各社の特徴がより鮮明になってきたようだ。すでに上期の第1ピークであるゴールデンウィーク商戦が始まっているが、本格的な旅行シーズンの前に、改めて大手5社の上期商品の傾向をまとめたい。


質や価値の追求、方向性はさまざま

 各社の商品発表資料や販売店向けの説明資料の見出しを見ると、品質や価値を追求する傾向が強く表れている。

 例えば、昨年の商品革新を経てさらに進化をめざすJTBワールドバケーションズ(JTBWV)は、6ヶ月サイクルの赤・青パンフに食事や添乗員同行ツアーの最大人数など品質基準を設定。「満足」「感動」の追求とともに、価格重視型の黄パンフとの違いを明確化することで、選びやすい商品体系とした。「パッケージにしかできないものを進化させていく」(代表取締役社長・北島文幸氏)方針で、「過去最高の150万人達成のための商品体系」と自信を示す。

 一方、近畿日本ツーリスト個人旅行(KNT個人)では「お客様が感じ取れる価値」を重視して商品を展開。専門部署を立ち上げて「世界遺産シリーズ」などテーマ旅行を充実させるほか、ワンランク上の「プレミアムシリーズ」も新設する。「素材売りでは価格競争に陥る」(常務取締役海外旅行商品事業本部長・田口久喜氏)として、高付加価値商品へ軸足を移した。その結果、人数目標は前年並みだが、取扱額は前年比8%増となっている。


シニアに加え、女性も主力層に
ファミリー層も強化

 ターゲット客層を重視する戦略も進化した。従来から各社とも熟年・シニアに力を入れているが、日本旅行では女性を重点顧客層に加え、「シニア向けの高品質なツアーと、女子旅に強いことを示していく」(東日本海外旅行商品部チーフマネージャー・阿部公宣氏)。熟年・シニア向けは従来の「心豊かな旅」に加え、海外クルーズの「心満たされる旅」、テーマ追求型の「心躍る旅」の3つの専用商品に拡充。女性向けは「アジア★トラベラー」に加え、「ヨーロッパ★トラベラー」の2つの専用商品で展開する。

 また、ジャルパックはシニアとファミリーを重視し、シニア向けは50代から60代の“新世代シニア”を意識して付加価値型商品を拡充。例えばヨーロッパの添乗員同行コースではバスをゆったり使える程度の人数制限や、パリでは中心部のオペラ地区など立地にこだわったホテルなどを取り入れ、「そういう客層には響くと思っている」(代表取締役社長・二宮秀生氏)と胸を張る。一方、家族向けには、グアムでの「クマノミ・スノーケリングツアー」など、子供から大人まで楽しめる観光プランを充実させた。