フィリピンの航空会社、新路線・増便に期待、規制緩和見込みで
フィリピン政府観光省(DOT)とフィリピン民間航空局(CAAP)によると、国際民間航空機関(ICAO)による「重要な安全性の懸念(SSC)」の認定が解除される見込みだ。SSCは、ICAOが実施する安全監査の基準に満たない国について認定するもので、これを元に欧州委員会や米連邦航空局(FAA)はSSC認定された国の航空会社について乗り入れや路線の新規開設、増便などを制限しており、解除されれば路線拡充の動きが活発化することになる。
フィリピンは2009年にSSCの認定を受け、欧州への乗り入れが禁止されたほか、米国でも路線拡充が制限されているところ。日本も米国と同様の措置を取っており、フィリピン航空(PR)やセブ・パシフィック航空(5J)を含む同国の航空会社は既存の路線・便数は維持できるものの、未就航の航空会社による就航や新路線の開設、増便、臨時便やチャーター便の運航は認められていない。
CAAPによると、ICAOは2月にCAAPによる改善の取り組みを評価するべく監査チームをフィリピンに派遣。その監査の終了時に、チームを率いていた担当者からSCCを解除するよう提言することを明言されたという。また、ICAOデュプティー・ディレクターのモハメド・エラミリ氏からは、フィリピン政府による積極的な取り組みに理解を示す言葉が伝えられたという。
DOT東京支局の横山泰彦氏によると、3月中にもICAOの結論が出る見込みで「9割以上問題なし」といい、SCCが解除されれば路線拡充への期待も高まる。実際にはEUやFAAによる評価の見直しが必要で、日本でも国土交通省航空局(CAB)が規制の見直しについて判断することになるが、FAAの措置が変更されればCABの方針に影響を与える可能性は大きい。
横山氏はPRや5J、エアアジア・フィリピン(PQ)がチャーターに意欲を示していると紹介。特にPRは北海道や羽田などのチャーター就航に前向きであるといい、規制が解除されれば具体的な動きにつながる可能性を示唆した。