トップインタビュー:JATA会長 菊間潤吾氏(前)

2013年は2000万人への足がかり
「価値創造元年」に

2012年6月、ワールド航空サービス代表取締役社長の菊間潤吾氏が日本旅行業協会(JATA)会長に就任した。中小旅行会社からの会長職就任は1995年以来だ。現在の海外旅行市場は、歴史的円高もあって2012年の出国者数が過去最高値を更新する見込みであるなど活況を呈しており、2013年も引き続き好調な推移が予想されている。一方で、オンライン流通の増加や旅行会社離れなど、業界の内面では多くの課題を抱えていることも事実。こうした環境下でのJATAの役割や重点施策について、菊間氏に考えを聞いた。


-2012年を振り返ってご感想をお聞かせください

菊間潤吾氏(以下敬称略) 震災後のリカバリーという意味で、海外旅行は出国者数が1850万人前後という数字になり、国内旅行もしっかり伸びている。ここまで早く戻すとは正直思っていなかったほどで、旅行という需要の底堅さを改めて感じた。

 もちろん、環境としてオープンスカイによるLCCを含めた供給増もあり、円高も相当大きく効いているとは思う。羽田の国際化の問題など色々と環境が整備されてきたのも大きい。

 9月以降の尖閣・竹島問題を見ても、確かに影響はあったが比較的小さく、年が変わればまた回復する可能性も感じられている。来年は2000万人の足がかりの年になるだろう。国の掲げる2016年よりも前倒しも可能ではないか。

 ただ、そのように市場が拡大している中で、旅行会社の取り扱いがそれに比例して大きくなっているのかどうかというところに問題がある。

 我々としては、市場拡大については今後も積極的に需要喚起をはかっていく一方で、旅行会社がどうやってそれを取り込んでいけるかということに関して、もう少し色々な形で取り組んでいかなければ好調な需要も手放しで喜べない。環境の整備というか、会員会社が個々ではなかなかできないようなことをJATAとして用意していこうと考えている。