アミューズトラベル、廃業へ-観光庁は調査急ぐ
アミューズトラベルは、旅行業の廃止届を関東運輸局に郵送した。観光庁によると、5日夕方、関東運輸局に書類が届いたという。アミューズトラベルでは、万里の長城での遭難事故により事業の継続が困難になったことに加え、トムラウシと万里の長城での2回の事故について「重く受け止め」、廃業を決めたと説明している。廃業の期日は12月20日付で届け出ている。
アミューズトラベルによると、旅行業を廃止して約50名の社員は解雇する一方、法人格は残し、代表取締役会長の牛島浄氏、代表取締役社長の板井克己氏、松下政市氏の3名が役員として残り、「ご遺族の方へのお詫びや補償、観光庁の調査への対応」に専念する。予約を受けていたツアーについては、すでに営業自粛を決めていた12月分に加え、2013年1月から3月の出発分についても「基本的には旅行代金をお返しする」方針で、顧客に連絡をしているところだ。
観光庁では4日、事業廃止の意向が判明する前から計画していたという4回目の立入検査を実施。20日の事業廃止が、社員への給与支払い締め切りの都合によるものであったことなどを聴取するとともに、ツアーの催行状況を把握できる資料などの提出を受けた。
廃止届は制度上、書面に記載された事業廃止日、アミューズトラベルの場合は20日になれば自動的に受理することになる。受理すれば届け出た企業は旅行業者でなくなるため、旅行業法に基づく立入検査や行政処分は不可能となる。
行政処分をおこなうには最短でも1週間が必要で、アミューズトラベルへの行政処分は、観光庁によると「状況は厳しいかもしれない」ところ。ただし、可能性はあり、「可及的速やかに色々と進めていく」方針で、これまでの検査内容について精査するとともに、必要に応じて立入検査や聴取もしていく。
また、仮に廃業が先行しても、観光庁としては今回の事故の教訓を今後の旅行業者の指導、監督に生かすため、アミューズトラベルへの聞き取りを継続したい考えで、アミューズトラベルからは5日の立入検査の際に、引き続き協力するとの回答が得られている。
そうして得られた情報は、これまでの検査内容も含めて反省点を洗い出し、旅行業者に周知して注意喚起をはかる。具体的な手段については検討段階であるものの、マニュアル化や報告書としての取りまとめなども選択肢という。