旅博、成熟市場にかかる期待-JATA、旅行会社収益増の鍵に
JATA国際観光フォーラム・旅博2012が9月21日、東京ビッグサイトで開幕した。今回は中国国家観光局が尖閣問題を理由に展示を取りやめたが、出展者数は156ヶ国・地域からの708企業・団体、コマ数も1083コマとすべて過去最高を更新。日本旅行業協会(JATA)会長の菊間潤吾氏は開幕に際し、数値の伸びが「(海外から)日本の旅行市場に対する期待の表れ」であると喜びを語り、特に日本市場の成熟性に対する期待が高まっているとの分析を示した。
菊間氏によると、今回はマケドニアやホンジュラスなどの国が初出展したほか、カメルーンやアンゴラなど日本人訪問者の少ない国からも出展が得られるなど、日本人訪問者数が500人程度の国でも出展し、日本市場での誘客に取り組む動きが強くなっているという。
こうした背景として菊間氏は、日本の海外旅行市場の好調さに加え、日本市場の成熟性に対する注目が増していると分析。これまでは各国が訪問者数のみを重視し、出国者数の多い国に予算を投じる傾向が強かったのに対し、現在は観光産業の健全な発展をめざす上で、一年を通しての集客や人気観光地以外への需要の分散化が課題となってきているといい、日本市場がシニア層を中心に通年で送客可能であることや、「地方都市、あるいは文化や伝統を感じられるような場所に出かけたい」というニーズが顕在化している点が再評価につながっているという。
日本の旅行業界としては、今年3月末に閣議決定された観光立国推進基本計画の、2016年までに海外旅行者数2000万人の目標達成をめざしているところだが、その過程でいかに旅行会社が収益をあげていけるかが課題。菊間氏はこの点についても、海外からも期待されているような滞在日数の長いツアーなど、成熟化に対応した商品企画を進めることで収益確保が可能になるとの考えだ。
こうした商品企画の促進策については、「できることは限られるかもしれない」としつつ、「企画担当者のスキルアップセミナーを全国各地でやっていきたい」と意欲を表明。セミナーのテーマ設定の段階で、成熟化への対応などの視点を盛り込んで取り組んでいきたい考えだ。
なお、9月20日には旅行商談会も開催したが、日本発のアウトバウンドは76社216名のバイヤーと248社380名のセラーが集合。インバウンドでも、日本政府観光局(JNTO)が主要ターゲットとして設定している15ヶ国を中心にバイヤー64社66名を招聘し、セラー128社239名と商談をおこなった。