羽田発着枠配分に各社要望-吉田副大臣「地方側の努力、提案求める」

  • 2012年8月23日

 国土交通省は8月22日、「第2回羽田発着枠配分基準検討小委員会」を開催し、本邦6航空会社と全国空港建設整備促進協議会からのヒアリングを実施した。同委員会は、2013年夏期スケジュールを目標に1日25便拡大する羽田空港の国内線発着枠の配分について検討するもの。各社は第1回の委員会であげられた論点を踏まえ、経営計画や産業発展、需要拡大、地方路線対応など、多様な観点で発着枠の配分に対する考え方やスロットの獲得に対する要望を述べた。

 前回の委員会では配分基準の論点として、国民の財産としての有効活用をめざし幅広い観点での検討が求められた。さらに今回、国土交通副大臣の吉田おさむ氏は冒頭の挨拶で「各地域が路線開設後、どのように力を付け、活性化していくかという視点もポイント」との考えを示した。

 そのため、吉田氏は各社のヒアリング後、「地方路線について、航空会社として成り立たせるための視点は事業者として大切だが、就航先の自治体とも話をしているか」と言及。「地域に観光や産業、地域の雇用がどれくらい増えるか、配分する25枠にはその視点がなくてはならない」と強調し、「地方自治体や各空港は航空会社に(就航を)望むだけでなく、地域側の努力、提案もほしい」と要望した。

 ヒアリングで各社が述べた主な意見は以下の通り。

 

▽新規航空会社の優遇枠、産業政策・競争促進

 スカイネットアジア航空(LQ)とスターフライヤー(7G)は、論点の1つとなっていた新規航空会社に対する優先配分について、従来通りの実施を要望。両社とも「保有機材数12機以下が新規航空会社」との考えを示し、「大手航空会社との枠数格差是正が必要不可欠」(LQ代表取締役社長・高橋洋氏)、「経営基盤の目安となる保有機材数12機程度の事業規模拡大を目的とした配分が最優先」(7G代表取締役社長・米原愼一氏)と主張した。具体的にLQは6枠から8枠程度、7Gは10便の優先枠を要望した。

 一方、保有機数が11機のエア・ドゥ(HD)は、機材数の増加を予定していることもあり、新規航空会社の優遇枠の維持に対する要望はなかった。ただし、羽田の発着枠の方面別管理に触れ「北方面の出発回数が最も制限されている」(HD代表取締役社長・齋藤貞夫氏)として再検討を促した。具体的には「羽田/北海道路線における便数シェアで約30%を確保できる規模の9便程度」を希望した。


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