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変化の波に乗れ、急速に変化を続ける世界への対応-WTTCより

  • 2012年6月5日

 北から南へ、有線から無線へと急激に移り変わる世界。旅行業界においてもその波を的確にとらえ対応していくことを余儀なくされている。今後どのような変化が訪れ、どう対応していくのか。投資家、未来学者などの予測をもとに世界の旅行業界のリーダー達が議論した。議論は2回に分けられ、議論の前にはそれぞれ2分間のフリートークが行なわれた。

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近い未来に訪れる変化、新興国の台頭
旅行業者は“グローバル化”のリーダー

海南省人民政府のリュー・ジアン氏

 ビデオメッセージではゴールドマン・サックス会長のオニール氏、スターウッド・ホテル社長兼CEOのパッシェン氏が中国の台頭について触れ、世界のGDPの40%を占めるBRICSとネクスト11諸国がこれからの世界経済を担うことになると予測。特に大きな経済特区である海南島は大きな潜在力を秘めているという。

 中国・海南省人民政府のジアン氏によると、海南島は中国で唯一の亜熱帯の島で、5つある経済特区の中で最大の地区だ。国際的なリゾートとしてのプロモーションを推進しており、ツーリズムがサービス産業をリードしているという。対外依存度が高いため、欧州債務危機や日本の震災後の経済低迷などの影響で渡航者数は減少したが、中国国内旅行の取り込みや、医療観光、MICEといったビーチリゾート以外の魅力、道路や外国人向け標識など観光インフラの整備に取り組んでいる。また、違法行為を規制し、信頼のおける観光市場を整備する考えだ。

ハイブリッドリアリティ研究所主任のパラ・カンナ氏

 次に登壇したハイブリッドリアリティ研究所主任のカンナ氏は、未来学者でもある。カンナ氏によると、現在、我々が体験しているのはテクノロジーの発展に伴う怒涛の「グローバル化」だ。国境はなくなり、世界は互いにリンクしあっている。距離に関係なく地球の裏側とでも簡単にコミュニケーションをとることが可能な今、家から一歩も外に出なくても“旅”をすることができるようになった。テクノロジーは必ずしも旅行業者の味方ではないと話す。

 経済を活性化させるにはインフラ投資が有効で、これまでにも道路、航空、そしてサイバースペースとさまざまな“シルクロード”が構築されてきた。こうした変化が活発なのは、BRICSやネクスト11といった新興国、そして南の国々だ。かつて南は後進国という印象があったが、今は違う。外国からの直接投資を受けて成長を続けるのだが、それはグローバル社会の新興市場に対する信頼を表しており、無視できない存在になっている。

 これからの時代は「すべての国が“主要国”足り得る」といい、どの国からも目を離すことができない。そうした世界経済の成長率において、観光業はその10%を担う重要産業だ。つまり旅行業者はグローバル化のリーダーであり、「インフラへの投資、環境の維持などを積極的に推し進めていかなくてはならない」と話した。