東北観光博開幕、震災復興はかる-観光資源の掘り起こし、地域連携強化へ
観光庁は3月18日、東北6県などと協力し、東北を1つの博覧会場と見立てて統一的な情報発信をすることで東北地域の観光復興をはかる「東北観光博」を本格的に開始した。3月19日に開催した定例会見で、観光庁長官の溝畑宏氏は東北への観光客数について「震災前の水準に戻るというより、さらに高いレベルになることが目標。目標に向かって官民あげて取り組んでいきたい」と意欲を述べた。
溝畑氏は東北観光博の実施で「今まで眠っていた東北の観光需要や観光コンテンツ、ポテンシャルが引き出せるのではないか」と期待を示した。東北への需要喚起に加え、観光博28会場に自主的、主体的な観光コンテンツの造成を促し、観光のプラットフォームづくりをおこなうことで、観光資源の掘り起こしと各地の連携強化へつなげたい考え。東北観光博を住民参加型の着地型観光と観光での広域連携ネットワークの確立に向けたモデルケースととらえているとした。
また、観光地の個別化、差別化をはかるためには「どういう物語性、ブランド、ストーリー性を持つか」が重要とし、「各会場ごとにブランドを創り上げていくプロセスが大切。(東北観光博は)コーディネート力を身につけるいい機会」とした。単なる食事や温泉ではなく、東北ならではの祭りや桜をテーマに東北を北上していくコースなど、1泊2日ではなく、2泊以上の長期滞在につなげる動きも大切だという。また、地域でマーケティングを実施し、住民参加で魅力ある観光地を作るべきとの考えで、今回の東北観光博でも地域観光案内人やゾーンごとにスタンプをもらえるパスポートの設置など、地域住民が参加できる形で実施したという。
さらに、溝畑氏は過去にボランティアで東北を訪れた旅行者に対する働きかけも示唆。顧客の新規開拓も必要だが「顧客管理をしっかりおこない、もう一度東北に行ってもらうするような仕組みを考えるべきでは」と述べた。
3月18日にはオープニングイベントをJR東京駅で実施。溝畑氏は積極的に情報発信をしたことで「始まる、という認知は十分にできた」という。今後は継続的で切れ目のない広報活動を実施するとともに、観光庁主体の広報活動だけでなく、東北観光博に参加している地方自治体ごとの広報活動などもサポートし、国内外に情報を発信していく考えだ。