旅行稲門会、新会長にユナイテッドツアーズの越智氏-産学連携深化へ

  • 2012年3月18日

 早稲田大学のOBで構成される旅行稲門会は、このほど年次総会と懇親会を開催し、新会長としてユナイテッドツアーズ代表取締役社長の越智良典氏を選任した。旅行稲門会は会員相互の親睦とともに、大学との連携を設立の趣旨としてかかげている。越智氏は懇親会の開催に加え、産学連携を積極的に取り組みたい考えを示した。今後は大学での社会人交流会やOBセミナーを実施していく計画だ。

 越智氏は企業側や大学側に対し、ビジネスモデルの変化やグローバル化、インターネット化に対応するべきと指摘。さらに、大学はグローバルリーダーシップを掲げているが、国際化や経済界との連携が遅れていると課題を挙げた。日本の観光系学部、学科は2010年4月時点で125大学134学科あり、定員は1万7540名だが、観光関連への就職は12.2%と低く、アメリカや中国、韓国などと比べても経営系の弱さが指摘されているという。こうした状況を踏まえ、観光庁では観光系の大学だけでなく「トップブランドの大学」が観光に取り組み、優秀な人材を観光業界に送り込むとともに、産学連携の研究を実施しその成果を提供する方針をかかげている。

 観光学科を持たない早稲田大学でも、商学部で産学連携を実施しており、寄付講座「ツーリズム産業論」を6年間実施。観光庁の観光人材育成の協同研究もおこなっており、近畿日本ツーリスト(KNT)と「リスクマネージメント」、ANA総合研究所と「若者の旅行需要活性化」などのテキスト作成にも取り組んでいる。越智氏は旅行稲門会で産学連携に取り組むことで、才能のある人材を観光業界に送り込み、その人材を業界のリーダーとして育てていきたいとした。