アメリカン航空の再建、「年内再上場」に向けた現状
アメリカン航空(AA)は昨年11月29日、日本の民事再生法に当たるチャプター11(連邦破産法11章)を申請した。米系の大手航空会社としては唯一、チャプター11を回避してきていたが、今回はコスト構造の競争力の低さと組織としての非効率性から、申請を決定したという。チャプター11申請の背景やねらい、現在の進捗状況について、先月に開催された記者会見で語られたAA副社長グローバル政府担当のケビン・E・コックス氏の発言をまとめた。
■チャプター11申請の背景
コックス氏 アメリカン航空(AA)は過去80年間の歴史の中で、航空業界におけるリーダーシップを堅持してきた。この80年の中には厳しい時期もあったが、なんとか厳しい選択肢を選ぶとなく乗り越えてきた。もっと直接的にいえば、我々はできる限り破綻、再生という道を選ばないで済むように困難を乗り越えてきた。
2002年から2007年にかけて、米国のほとんどの大手航空会社はチャプター11を申請しており、一部の企業は一度ならず複数回、再生の過程をたどってきた。航空会社各社は破綻から再生の手続きを踏むことにより、AAよりも優位なコスト構造を築いてきたといえる。
このような中で2011年11月29日、やむなく財務的な構造改革を目的にチャプター11を申請した。極めて厳しい決断ではあったが、必要不可欠だった。その日以来、早期の再生と黒字転化を可能とする、包括的かつ持続可能な経営計画を策定するため日夜取り組んできた。
■経営計画の内容
コックス氏 経営計画には3つの根幹があり、2つはすでに着手している。1つは、太平洋と大西洋におけるワンワールドパートナーとの共同事業であり、これは我々が国際線市場の中で成長を続けるための絶好の機会と基盤をもたらすものだ。日本航空(JL)との太平洋路線の共同事業はもうすぐ1周年を迎えるが、これまでのところ非常に良い成果が上がっており、さらに拡充していきたいと考えている。
2つめは、ボーイングとエアバスに対する、前例のないような大型の機材発注だ。ワイドボディとナローボディを含めて合計500機以上(※確定:ボーイング296機、エアバス260機/オプション:ボーイング158機、エアバス365機)を発注している。現時点では、メインラインの平均機齢が主要な米国系会社の中で最も高くなってしまっている(14.9年)が、今回の発注により、2017年までに平均機齢が最も若い航空会社に生まれ変わる。
3つめは、徹底した費用構造改革と収入機会の増加に向けた取り組みだ。今後5年間で約30億米ドル分の財務改善をめざしている。内訳は約20億米ドルがコスト削減、約10億米ドルが収益増だ。