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「観光が新しい日本を作る」-観光業界のミッションと求められる人材

  • 2012年2月15日

 日本観光振興協会が日本学生観光連盟との共催で開催した第8回産学連携オープンセミナーの中で、旅行会社、鉄道会社、航空会社、ホテルの代表と学生によるパネルディスカッションが行なわれた。短い時間となったため、それぞれの見地からの発表となった感があったが、それをつなぎ合わせることで、今後の観光業界が担う役割が見えてきた。また、固定概念にとらわれない学生の意見は新しい可能性を予感させるものであり、各業界代表による今後の観光業の展望や求められる人材の話は、学生はもとより、観光業を担う業界従事者にも役立つだろう。

コーディネーター

宍戸学氏:横浜商科大学商学部貿易・観光学科 准教授

パネラー

・観光業界代表
野口英明氏:ジェイティービー 常務取締役
原口宰氏:東日本旅客鉄道 常務取締役
藤田直志氏:日本航空 執行役員
山中佐衛子氏:帝国ホテル 人材育成部長

・学生代表
岡山奈央氏:東海大学観光学部観光学科
戸枝亘氏:帝京大学経済学部観光経営学科
柳澤綾佑氏:立教大学観光学部観光学科


日本の魅力に気づく近道
身近なものを好きになる

 パネルディスカッションは「日本の魅力は何か」「2011年の振り返り」「今後の展望」「学生へのアドバイス」の4つのテーマですすめられた。

 日本の魅力についてはジェイティービーの野口氏が、アンケート結果やこれまでの経験から「顧客アンケートで人気が高いのは食。我々が訴えやすいのは四季」と説明。また、安心、安全、清潔さも重要なテーマだという。しかし、「もうひとつ大切なのは『おもてなしの心』」と強調。「お客様が帰るときに『良かったことは親切にしてもらったことだ』と良く話される」と述べ、「これが日本の一番の魅力だ」と語った。

 帝国ホテルの山中氏も「日本はホスピタリティにあふれた国」と日本のおもてなしをあげ、その理由として「その根底にあるのは日本の『察する文化』」と説明。外国人は自分の言葉で主張するコミュニケーションを主とするため、海外の旅行サイトに掲載されるコメントを見ると、日本のホテルのサービスに対し「こちらが望んでいることがなぜわかるのか」との驚きや「スタッフのおもてなしが楽しかった」とのコメントが多いという。「日本人にとっておもてなしに“enjoy”の要素はないが、それを取り入れれば最強になるのでは」と提案した。

 一方、学生にとっては日本の魅力について、パネルディスカッションへの登壇をきっかけに再度考える機会になったようだ。東海大学の岡山氏は、「日本の魅力って何か、自分に問いてみた」といい、「若者は新しいものや珍しいものが好きだが、根本的には身近なものが大切だと思っている」と話す。

 例えば岡山氏は今年、成人式に出席したが、そのために1年前から振り袖など当日の装いを考え始めた。それを振り返り「いろいろアレンジしながらも守られている伝統がある。やはり“いいものはいい”と思う」と述べ、「新しく魅力を探すより、自分たちの文化は何かを考え、日々好きになっていくことが大切ではないか」と語った。さらに「成人式の日は町に晴れ着の人が多く出ている。そんな日に日本にいたら、外国の人は喜ぶのではないか」とのアイディアものぞかせた。