トップインタビュー:大韓航空日本地域本部長 權炳燦氏
震災乗り越え日本発需要はプラス成長
韓国発も今年後半に回復見込む
一昨年のヨンピョン島砲撃事件、昨年の東日本大震災などの影響を受けて冷え込んだ日韓間の航空需要。しかし、大韓航空(KE)はそうした中でも、需要は早いスピードで回復すると予測し、主要路線で運休・減便はおこなわず、ネットワークを維持。現在では、韓国発需要については依然として影響は残るものの、日本発需要は急速に回復し、前年実績を上回る勢いだという。激しい市場の変化の中で日本地域本部長に就任した權炳燦氏に2011年を振り返ってもらうとともに、2012年以降の見通しについて話を聞いた。(聞き手:弊誌編集長 松本裕一)
-日本地域本部長に就任されてから約1年が経ちました。この1年の市場動向および御社の実績をお聞かせください
權炳燦氏(以下、敬称略) 2011年の日本発需要は、前年11月末のヨンピョン島砲撃事件の影響により前年比マイナスでスタートした。3月になってプラス転化を期待していたところに、東日本大震災が起こってしまった。
しかし、多くの外国系航空会社が運休・減便する中、我々は主要路線で減便せず、機材もそのまま残した。日本発の需要は早いスピードで回復すると考えたからだ。その理由として、震災の影響で日本国内の旅行需要が低迷し、その代替として近場の韓国が選ばれると考えたのがひとつ。また、震災によって、日本に飛ぶ韓国人の割合が60%から20%ほどまでに落ち込んだことから、日本の旅行会社に提供できる席が増え、日本サイドとして売るチャンスが拡大すると考えたためだ。
現在、急激に回復した日本発需要にうまく対応できているので、ネットワークを維持したのはいい判断だったと思う。6月以降需要は回復基調になり、円高の影響もあり、前年同期を上回った。9月の日本発旅客数は前年同月比で約5%増加した。12月には、韓国人旅客が90%を占めるため運休していた大分、長崎、函館線を復活させた。2011年を通じて見ると、震災の影響を乗り越えて成果を上げることができたと思っている。
-2012年の需要動向はどう見ていますか
權 円高のために日本発需要は伸びると思う。日本へのインバウンドについては、今年上半期は現状のままだろうが、韓国経済の回復や震災の影響が薄れていくと予想されることから、後半からは回復してくるのではないか。そうなると、日本発の座席が足りなくなる恐れがあるため、ゴールデンウィークあたりに地方路線での増便も考えているところだ。1月か2月のうちに決めたいと思っている。
冬期スケジュールではこのほか、2月に関空/釜山線をダブルデイリーに増便する。個人的な見解だが、日本発はプラス5%ほど、韓国発は、2010年実績までの回復は難しいかもしれないが、今年のリバウンドで期待以上の伸びが残せるのではないかと思っている。