2011年の旅行業倒産件数は54件に、震災が影響-震災関連倒産は7件

  • 2012年1月15日

 東京商工リサーチ(TSR)によると、2011年1月から12月までの旅行業倒産件数は前年比28.5%増の54件(前年:42件)となった。昨年は3月11日に東日本大震災が発生した影響で前年の2010年に比べて倒産件数が増加。月別に見ると、2011年1月、2月は前年と比べて減少したものの、3月から9月までは前年増で推移した。一方、10月以降は倒産件数は前年に比べ減少しており、TSRでは円高基調で海外旅行が拡大したためと見ている。また、旅行業の震災関連倒産は7件で、旅行手控えなどによる間接的な原因が中心だという。

 2011年の負債総額は29億8800万円(前年:56億4100万円)で、前年に比べて大幅に減少した。これは、2010年は6月に発生したグッドラックツアーの倒産で負債総額が11億2000万円と全体の負債を押し上げており、2011年は小規模倒産が中心で大型倒産が少なかったためだという。

 また、2011年の宿泊業の倒産件数は30.0%増の134件(前年:103件)。1月から3月までは横ばいだったが、4月から8月までは前年に比べ大幅に増加し、特に5月は29件(前年:8件)となった。負債総額は1086億8600万円(前年:706億4800万円)で、大きく増加した。このほか、震災の影響で老舗旅館が倒産するなど、宿泊のキャンセルが相次ぎ、売上不振となった業者も多かった。宿泊業の震災関連倒産は32件でであった。

 なお、12月単月の旅行業倒産件数は4件(前年:2件)で、負債総額は1億7500万円(前年:9億300万円)。いずれも負債総額が7500万円以下の小規模倒産が中心だった。また、宿泊業の倒産件数は8件(前年:10件)で、件数は減少したものの、負債総額は78億6800万円(全年:49億5400万円)と増加した。これは、国民宿舎管理運営の大鰐町開発公社が負債総額29億9000万円、観光ホテル経営のマリン総合開発が負債21億9300万円など、大型倒産が負債を押し上げた。