20代インタビュー:グランドツアー代表取締役 髙野博幸さん(28歳)
20代応援企画!
社長になって見えたこと-若さで新しい旅行業を切りひらく
今回の20代は、なんと代表取締役。髙野博幸さんは大学卒業後、第一志望の大手旅行会社に入社し、希望通り業務渡航手配部門の新規営業担当に配属されたものの、わずか1年ほどで旅行会社を経営する父親の病気が発覚。葛藤の末、2007年に弱冠23歳で父親の跡を継ぐことを決断しました。バスケットボールの名門高校でレギュラーとして全国制覇を2回経験するなど「順風満帆」な人生を送ってきた髙野さんが、大きな挫折を味わいながらそれを乗り越えて成長し、新しい旅行業をめざそうとするお話しは、年齢や立場に関係なく多くの方にとって示唆に富む内容でした。
-会社の概要と現在の業務内容について教えて下さい
「グランドツアー」の前身は、父親が1983年に立ち上げた「悟空ワールド」です。悟空ワールドは中国に特化した旅行会社で、今から約30年ほど前に中国を専門にした父親は、先見の明があったと思います。ただ、SARSの際に大きな打撃を受けて、欧米方面にノウハウを持つ旅行会社と合併し、2006年に現在の社名に変更しています。
元々は業務渡航とレジャーが5対5の割合でしたが、私の就任後は景気に左右されてしまうレジャーよりも、確実に需要のある業務渡航の比重を重くし、業務渡航が7割か8割になっています。
-23歳という若さで代表取締役に就任した経緯はどのようなものだったのでしょうか
まず、大学卒業後に留学する計画があったのですが、訳あって就職を決断します。その際に、就職先として最初に思い浮かんだ業界が旅行業界でした。父親が旅行会社を経営していたことは大きかったと思います。入社したのは、大手旅行会社グループの業務渡航の事業会社でした。他の会社も内定をいただいていましたが、その会社は従来型の旅行業ではなく、欧米のBTMにいち早く取り組んでいるという話を聞いて、旅行の中では最先端を行っていると考えて選びました。
その会社では当時、新入社員はまずオペレーター業務から仕事を始めると聞いていたのですが、新規営業の希望を出してみたところ受理され、新規営業の部署に配属されました。といっても、まだ知識もありませんから大変で、スポーツで鍛えた根性でリストを元に片っ端から電話をかけまくったりしていました。
ところがそんな中で父親の病気が発覚し、後継者問題が持ち上がります。私は3兄弟の末っ子なのですが他に継ぐ者がなく、私の意志に任されました。大手旅行会社にも就職していましたし、最初は継ぐ気がなかったのですが、父親と話す中で30年近い会社の歴史も考え、周りにも相談して決めました。
もともと私は、「いつか独立したい」という希望があったのですが、大手旅行会社の「安定」に慣れ始めていた時期でしたので、今考えれば父親が背中を押してくれたのかなという気もします。