スマホ、位置情報、拡張現実-ITマーケティングと旅行・観光分野の可能性
現在のスマートフォン契約数は995万件で全携帯電話の8.8%だが、2015年3月までに7030万件となり過半数を超える――。JATA旅博2011の併設セミナー「これからのスマホ×位置情報×ソーシャルメディアマーケティング」で、モデレーターを務めたマーケティング・ボイス代表取締役社長の鶴本浩司氏は「ネットの主人公となっていく」とスマートフォンの重要性を表現。今後のITマーケティングのキーワードとしてスマートフォン、位置情報サービス、フェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアをあげた。パネリストには日経BP編集/ライターの中村勇介氏、ヤフーBS事業統括本部地域サービス本部企画部部長の松濤徹氏、日本ユニシス総合技術研究所先端技術ラボ研究員の中川靖士氏が登壇し、キーワードの解説とともに現在のマーケティングにおける実例を紹介した。
位置情報サービスの活用メリット
位置情報サービスとは、スマートフォンのGPS機能で利用者の居場所を活用するもので、鶴本氏は「スマートフォンと密接な関係を持っている」という。代表的なサービスとして、アメリカの「フォースクエア」は世界1000万人、日本の「ロケタッチ」は3万6000人が登録しているといい、日経BP中村氏も「人を動かす位置情報サービスはマーケティング活用の可能性がある」と説明する。
中村氏は、消費者が位置情報サービスを利用する理由を「友人とコミュニケートする」「ゲームを楽しむ」「得する」と、3つに大別。そのいずれの理由でも、事業者の集客に繋がっているという。例えば、コミュニケーションでは、友人がある店でチェックインしたのを見て会話が始まり、「その近くにいるので、行ってもいいか」と連絡する。実際に中村氏も友人が自宅近くの飲食店で位置登録したのを見て、後日、別の友人とその店舗を初めて訪れたという。また「ゲーム」では、会員数約200万人のコロプラや約100万人の「国盗り合戦」などがあり、コロプラではすでに位置登録と現実の提携店舗での買物を目的とするパッケージツアーを、大手旅行会社が催行している。
最もマーケティングに活用できるというのが「得する」で、例えば、アメリカのフローズンヨーグルトチェーン「ピンクベリー」では、来店してフォースクエアで位置登録すると10%割引を提供。さらに一定回数以上の位置登録をした人には高い割引率や特典を提供しており、中村氏は「リピーターを獲得できる可能性もある」と紹介する。