タイ、11年日本人渡航者数110万人超へ-長期滞在、グリーンツーリズム訴え
タイ国政府観光庁(TAT)東京事務所は15日、タイでのロングステイとグリーンツーリズムをテーマにセミナーを開催した。TATマーケティングマネージャーの藤村喜章氏によると、タイへの2011年1月から8月までの日本人渡航者数は前年比24%増と好調に推移しており、2011年の渡航者総数は110万人を超える見込み。東日本大震災による需要の低迷を懸念していたものの、実際には大きな影響を受けなかったといい、羽田の再国際化による就航便数の増加と、発着時刻の選択肢の幅の拡大が増加の要因との考えを示した。
セミナーではロングステイ中に気軽に楽しめるアクティビティの一つとして、グリーンツーリズムをアピール。トレッキングなど山岳系、ダイビングなどの海洋系、エレファントトレッキングなど動物や民族との交流系、サイクリングや農業体験など参加体験型系の各アクティビティを紹介した。TATではグリーンツーリズムのアピールを強化していく考えで、14日に資産運用応援サイト「Quick Money Life」サイト内に特設サイト「美しい地球のために・タイのグリーンツーリズム」を開設。10月にはTAT公式ウェブサイト内にグリーンツーリズムの特設サイトを設置する計画だ。
また、サンヨーインターナショナル代表取締役の土橋告氏は、カオラック近郊のカオソック国立公園をグリーンツーリズムの体験地として紹介。カオラックはプーケット国際空港から車で約1時間の距離で、大自然を体験でき、多数の宿泊施設があることから、グリーンツーリズムを目的とした滞在に非常に適していると説明した。
さらに、観光ジャーナリストの千葉千枝子氏はロングステイの魅力を説明。同氏は震災後、人々の価値観に変化があらわれているとし、物の所有欲よりも人との絆や、体験を求める傾向にあるのではないかと分析。ロングステイ先に求めることも、好きな国、治安の良さ、物価の安さなど定番項目の次は大自然を求める声が多数で、「癒し」は大きなポイントだとした。
また、ゴーウィルタイ留学・ロングステイ事業部部長の大石哲也氏が、ロングステイでのホームステイや、グリーンツーリズムでの少数民族の村での体験プログラムを紹介した。大石氏はロングステイの傾向として、同社にある毎月約400件の資料請求のうち、8割が60歳以上のシニア層で、30歳から50歳の層が2割を占めていると解説し、震災後は放射能問題をきっかけに、3歳から5歳の子をもつ30代の母親からの問い合わせも増えていると述べた。