ANAグループ、第1四半期は81億円の営業損失-通期は700億円の黒字を予想
ANAグループの2012年3月期(2011年4月1日~2011年6月30日)の連結業績は、売上高が前年比0.6%減の3050億8000万円、営業損益は81億200万円の赤字(前年、以下同じ:29億8100万円の黒字)、経常損益は144億5600万円の赤字(29億6700万円の赤字)だった。東日本大震災の影響で国内線、国際線ともに需要が減退。4月以降需要回復の動きは見られたが、当期純損益は84億7000万円の赤字(52億5400万円の赤字)となった。
航空運送事業は、売上高が0.1%減の2743億円と微減にとどまったが、営業損益は92億円の赤字(11億円の黒字)となった。国際線については、旅客数が4.0%増の127万3803人、売上高が8.0%増の692億円で、前年から51億円の増収となった。旅客数は、震災直後1ヶ月は需要が落ち込んだが、4月中ごろから回復基調に転じた。ただし、ビジネス需要の回復に比べてレジャー需要の戻りは遅く、とりわけ訪日需要は大きく減少した。
こうした状況のなか、成田経由の北米/アジア間の乗継需要の取り込みや西日本での需要喚起を強化。割引運賃の設定によるレジャー需要の早期取り込みもめざした。また、震災後の旅客動向に合わせ成田/仁川線運休、成田/北京線減便、成田/上海線の機材小型化などを実施し需給バランスを調整した。さらに、6月19日から成田/成都線を新規開設し、新規需要の創出にも努めた。訪日需要に対しては、各国政府や業界団体、メディアの視察旅行を積極的に誘致し、イメージ回復に努めた。
一方、国内線では、震災の影響を大きく受けて旅客数が14.7%減の816万4172人、売上高は6.2%減の1345億円と低迷。ただし、4月を底に需要は回復基調となったといい、ビジネス需要は6月にはほぼ前年並みまで回復。レジャー需要も戻りは遅いもののゆるやかな回復傾向を示している。NHではレジャー需要喚起のため、週末限定の割引運賃を新たに設定し、定期便減便や機材小型化などで需給バランスの調整をはかるなど対策を実施した。
なお、旅行事業は、売上高が19.0%減の264億円、営業利益が92.9%減の4800万円となった。海外旅行では、予約の間際化に対応するため、ANAマイレージクラブ会員限定ツアーや海外ダイナミックパッケージの販売強化など実施。しかし、震災でパッケージツアーを中心に需要が低迷したため、前年を下回る結果となった。国内旅行でも、震災の影響で東京ディズニーリゾート関連をはじめ各地発関東方面行きの需要が低調だったことに加え、仙台空港発着商品の販売停止が響き、同様に前年を下回った。
▽通期予想、売上高は1兆4100億円-営業損益は700億円の黒字を予想
NHでは、震災や原発事故などの影響で発表を見合わせていた2012年3月期の業績予想も合わせて発表。通期は売上高1兆4100億円、営業利益700億円、経常利益360億円、当期純利益200億円を予想する。
同社によると、国際線、国内線ともに旅客数が震災前水準に戻るには年度末までかかる見通し。こうした状況のなか、震災の影響を最小限に抑えるため、機材の小型化や減便で需要に合わせ供給量を細かく調整する。さらに、通期で300億円規模の収支改善策を展開することで、費用の抑制に努める考え。すでに第1四半期から取り組みを開始しているという。このほか、需要の回復が遅いレジャー需要に対し、休暇の長期化、分散化にあわせて新規需要の取り込みをはかる考えだ。