観光庁、若者需要は「目的明確化」と「ICT活用」がカギ-ロゴも作成
観光庁は7月26日、2010年7月から2011年6月にかけて開催した「若者旅行振興研究会」の研究結果を発表した。研究会は、観光庁が産学官の関係者を集め、若者の旅行振興に向け検討を重ねたもの。研究結果では、結論として「旅の目的の明確化」と、「ICT(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)ツールを活用した商品の販売」がカギになる可能性を指摘している。
旅の目的については、「若者にとって、旅行は目的ではなく、『何か』をするための手段になりつつある」と指摘。ただどこかに行く、何かを見るという程度では目的にはなり得ず、「○○の効能があるから温泉に行く」「△△を学ぶために××工場見学に行く」「◇◇に効くパワースポットに行く」など、具体的な目的を明確にすることが必要とした。このため、若者を引きつけるコンテンツの開発やその見せ方が振興策のカギになるという。
一方、ICTとは、インターネットなど情報や通信に関する技術の総称で、すでに若者の生活の一部になっていることから、これを活用することで若者が旅行関連情報にアクセスしやすくなると分析。また、フラッシュマーケティングなどの新しい手法を取り入れると、手法自体に若者が興味を持っておもしろいと感じ、旅行商品を探していない人にも商品を訴求できる可能性があるとした。
また、これらとは別に、若者の旅行スタイルを読み解くキーワードとして、「旅をする人・しない人、旅行経験の二極化(男子より女子が活発)」「思い立ったら旅立ち」「口コミ、実際に体験した人の声を重視」「『体験+効能』『自己投資』的な旅に価値」など、若者の旅行の特徴をデータとともに紹介。このほか、シニアが中心と思われた平日の需要が見られた点や、一人旅の可能性なども報告した。
今後の検討の方向性としては、さらなる若者需要の喚起に向け、4項目の課題を掘り下げていく方針を示した。これは、学生や若手ビジネスマンの自己投資需要などに対応可能な「新しい価値を持った旅行商品」の提供、ICTツールの活用、友人などとの「絆」を重視する傾向に対して「誘われる」環境の創出、男子学生など性格的にはアクティブであるものの旅行に関心のない層を刺激する「きっかけづくり」の4点。さらに、若者旅行振興のシンボルとして、実際に大学生が選定した「若旅ロゴ」を公開し、業界関係者による使用も促している。
なお、研究結果は観光庁ウェブサイト上で閲覧可能だ。