国交省、ビジネスジェット推進、成田で重点的に取り組み
-専用ターミナルも

  • 2011年6月14日

 国土交通省航空局は6月10日、ビジネスジェットの受入れ態勢強化をめざすために2010年12月22日に立ち上げた「ビジネスジェットの推進に関する委員会」において、成田空港での受け入れ体制構築を柱とした中間報告を取りまとめた。成田空港での専用ターミナル整備をはじめとした5つの施策をパッケージとし、重点的に取り組んでいく。

 報告書によると、日本の主要空港では定期便を利用する一般客への対応が主で、ビジネスジェット専用の施設や導線が整備されておらず、スポットや発着枠の自由な利用も難しいことが課題として上がっている。こうしたなか、成田空港は発着枠が30万回に拡大することから、ビジネスジェットのニーズに対応する余地があるという。

 具体的には、2011年度のなるべく早い時期に成田空港にビジネスジェット専用ターミナルを完成させることを提言。日本航空(JL)の再建計画の一環としてJLから返還された南オペレーションセンターの1階部分を利用し、CIQ機能を備えた専用施設を整備する。また、2011年11月から現在15スポットあるビジネスジェット専用スポットを18スポットに拡大。駐機期間制限についても引き続き緩和を実施し、将来的に撤廃することも視野に入れ検討していく。

 さらに、成田空港で週21枠確保してきたビジネスジェット用発着枠を撤廃。2011年秋ごろから発着枠と駐機場の空き情報をウェブで提供し、一般の発着枠未使用分についても積極的な活用を促す。加えて、2011年10月からの同時離着陸方式導入で、ビジネスジェットが希望する時間帯の発着枠確保の可能性も拡大する。そのほか、都心へのヘリコプターでのアクセス改善として、2012年度を目処に新たな計器飛行方式(IFR)を導入し就航率の改善をはかる。

 加えて、国が早急に実施するべき施策として、国内外に対する積極的な情報発信を提言。ビジネスジェットへの理解を深め、魅力や日本の空港の強みが伝わるよう、国内外の主要企業に対し、大使館や商工会議所を通じて積極的に情報を発信するなど、官民が連携した取り組みを求めた。

 さらに、今後検討していく施策として、中部空港で深夜早朝時間帯に利用されている第2CIQの昼間時間帯での活用や、地方空港でのビジネスジェット乗り入れ手続きの簡素化、出入国時の手続きの迅速化、羽田空港を初めとした首都圏空港でのビジネスジェット利用を提言した。また、国内ビジネスジェット運航会社の育成をはかるための規制緩和や制度の見直しを実施することでビジネスジェットが利用しやすい環境を整備し、ビジネスジェット産業の育成へとつなげていくことも盛り込んだ。