「ツアーバス回数券」は法律違反
観光庁が是正求める

  • 2011年6月9日

 観光庁は6月6日付けで、日本旅行業協会(JATA)と全国旅行業協会(ANTA)に対して、ツアーバスの回数券が資金決済法に抵触すると指摘し、直ちに是正するよう求める文書を発出した。

 資金決済法では、旅行券のように旅行契約の成立前に対価を受け取って証書などを交付する「前払式支払手段」は、原則として内閣総理大臣への登録や発行保証金の供託などを義務付けられているところ。一方、旅行業法第2条第3項で掲げる「旅行者のため、運送等サービスの提供を受けることについて、代理して契約を締結し、媒介をし、又は取次ぎをする行為」に伴って交付する船車券などの前払式支払手段については、こうした義務が除外されている。

 これに対してツアーバスの回数券は、回数券の交付と引換に旅行代金を前受けすることになるが、募集型企画旅行契約は、旅行者が乗車するツアーバスを決定して予約し、旅行会社が承諾するまで成立しない。つまり、回数券を交付した時点では募集型企画旅行契約が成立していないため、旅行業法第2条第3項の「行為」には当たらず、回数券の交付にあたっては資金決済法に基づく登録などの義務を履行しなければならない。

 観光庁では、回数券を販売している旅行会社がこれらの義務履行を怠っており、資金決済法に抵触していると指摘。その上で、「こうしたことは、旅行業界全体の信用を失墜するものである」とし、さらに「一般乗合旅客自動車運送事業者によるバス回数乗車券の販売との誤認を旅行者に生じさせるおそれがあり、旅行者保護の観点からも不適切」と言及。JATAとANTAに対して、こうした状況があれば直ちに是正するとともに、旅行業法や関連法令の遵守によって「旅行業務の適正な運営の確保に万全を期す」よう、会員会社への周知徹底を求めた。