全日空、アマデウスと契約、旅客管理システムで-インフィニには「影響なし」
全日空(NH)は5月30日、2015年度下期をメドに国際線の旅客管理システムをアマデウスの「アルテア」に切り替えると発表した。NHでは1988年以降、自社開発の「able-I」を使用してきたが、アルテアを導入することで、グローバル化と経営効率の向上をはかる。年間で10億円以上のITコストを削減が見込めるという。6月には開発検討に着手する。
アルテアは、アマデウスが経営の柱とするGDS事業とITソリューション事業のうち、ITソリューション事業の中心となるシステム。NHを含めてすでに世界で112社と契約しており、スターアライアンスも共通プラットフォームとして推奨している。
アルテアを導入すると、航空券の予約・販売からインベントリ管理、搭乗手続きまで業務を一貫して管理できるほか、チェックイン時の手続き、ダイヤの乱れに伴う代替フライトの予約なども簡素化。また、旅客の利用履歴を即座に確認することも可能で、サービスの強化にもつながる。
旅行会社にとっては、アマデウスを通じて予約するとNHと同一のシステム上で予約や発券の作業ができるため、予約の正確性や業務効率が向上。また、アルテアを導入するスターアライアンス加盟航空会社とNHのセグメントが混在するPNRも一つの記録として扱われるため、現地で予約内容に変更などがあった場合も容易に確認することが可能だ。
ただし、NHの場合、インフィニ・トラベル・インフォメーションで流通機能を提供しており、他のアルテア導入企業とは環境が異なる。NH広報部も、「今回のシステム移行は、インフィニのGDS事業へ影響するものではない」と説明しているが、ホストコンピュータをアマデウスに移行して流通はインフィニを維持した結果として効率化が阻害されてしまえば元も子もなく、それぞれの棲み分け注目が集まる。