日本初LCC「Peach」が始動、関空専用ターミナルも

  • 2011年5月25日
左から、産業革新機構代表取締役社長の能見公一氏、「Peach Aviation」代表取締役CEOの井上慎一氏、全日本空輸常務取締役執行役員の竹村滋幸氏

 日本初の格安航空会社(LCC)が「Peach」のブランド名でアジアをつなぐ。5月24日、全日空と香港のファーイースタン投資グループが共同で出資している格安航空会社(LCC)のA&Fアビエーション(A&F)はブランド名「Peach」の決定にあわせ、社名を「Peach Aviation」に変更。同日には記者会見を開催し、コンセプトや機体デザイン、サービス概要について説明した。


 同社代表取締役CEOの井上慎一氏は、「ただの移動ではなく、人、モノ、コトをつなげるサービスを提供し、アジアの人々の交流、経済活性化に貢献する全く新しい航空会社」をめざすとし、365日を通じ低価格運賃や日本ならではのサービスクオリティを提供していく。同社は関空を拠点とし、2012年3月には福岡、札幌、5月にはソウル(仁川)に就航する計画だ。


 価格帯は未定なものの、従来かかるコストを半分に抑制できるよう現在調整中で、「今までに見たことのない安い運賃」(井上氏)の設定を見込んでいる。また、同社はアジアに特化し展開していく予定で、特にクールジャパンといった言葉に代表される日本の若者文化のセンスを取り入れてブランドイメージを高めていく。東日本大震災により、現在アジアからを含めインバウンド市場が影響を受けているが、運航計画など変更せず準備を進めているという。3年後には単年度での黒字化をめざす。


 このほか、実際に提供するサービスとしては、国内やアジア各地のイベントやショッピングなどの最新情報を提供し、その情報を選びながら航空券予約も進められるようにする。また、例えば北海道の穴場スポットや韓国のエステサロンなど、自分が体験した情報をすぐにサイトにアップし、さらに、利用者同士がシェアすることで、リアルとバーチャルを融合させたサービスを提供する。消費者が興味を持っていることとチケット情報をリンクさせることで、新たな顧客をうみだし、さらにその体験をシェアしてもらうことで、情報が活性化しリピーター化につながると見込んでいる。


▽関空LCC専用ターミナルオープンは2012年度下期


 また、同日の記者会見には関西国際空港代表取締役社長の福島伸一氏も出席し、LCCターミナルについての概要を説明。2012年下期には供用開始予定で、延べ床面積3万平方メートル、一部2階建てを除いて1階建てとなる。国際線、国内線共用で、駐機場は9スポットを新設する。また、コスト抑制のため、LCC旅客ターミナルビル搭乗待合室などはシンプルで簡素化したつくりになる予定だ。


 なお、今回のブランド名変更にともない、本店所在地を関空内に設置する。