日本航空、新企業理念策定-新ロゴマークで「鶴丸」復活も

  • 2011年1月20日
 日本航空(JL)は1月19日の定例会見で、新しく策定した企業理念を明らかにし、ロゴマークに「鶴丸」を復活すると発表した。JL社長の大西賢氏は、1月19日が会社更生法適用の申請から丸1年にあたることから「過去と決別し、新しいJLを創造していく」と意欲をみせた。

 新たな企業理念では「全社員の物心両面の幸福を追求する」「お客様に最高のサービスを提供する」「企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献する」の3点を掲げた。社員は、仕事への誇りや働きがいなどの心の豊かさと、経済的な安定を追求することで一致団結し、顧客に安全、安心、快適、利便性といった最高のサービスを提供する。また、全社員が強い採算意識と不屈の精神を持ち、利益を上げることで、株式配当や納税、社会貢献により社会の一員として責任を果たす。

 さらに、全社員の意識改革の必要性から、社員の共通の価値観、考え方として「JALフィロソフィ」を策定。「すばらしい人生を送るために」「すばらしいJALとなるために」の二部で構成し、人間として、JLの社員としてあるべき姿になるための判断基準や考え方をあらわした。大西氏は「高い目標を掲げ、全社員で共有することで目的に向かって一体感を持って力を合わせていく」考えを見せた。

 また、JL会長の稲盛和夫氏は経営方針として「リーズナブルな値段で、質の高いサービスを提供する」考えを示した。稲盛氏によると、今後の日本の航空業界はLCCの進出が拡大し、国内路線、海外路線ともに厳しい価格競争にさらされるとの見通し。「そんな中でも、JLは質を大切にしていく」という。

 なお、2010年12月の実績は日本航空インターナショナル(JLI)単体、グループ連結業績ともに営業黒字が確保できる見通しだ。大西氏によると、売上規模は事業規模の縮小で前年より減少するが、継続的なコスト削減策の効果があがったとの考えだ。


▽「鶴丸」をモチーフにした新たなロゴマークを採用

 JLは4月1日から、「鶴丸」をモチーフにした新たなロゴを採用する。大西氏はロゴマークを「過去への回帰や復古調の印では決してない。JALの原点、初心のシンボルとして採用した」とし、「『再生』ではなく、『新生』JALを作っていく」姿勢を強く訴えた。新ロゴでは旧「鶴丸」より翼の切れ込みを深くし、「JAL」の文字をゴシック体で太く変更。大西氏によると「スピード感やどっしり感、前に進む雰囲気を表現した」という。

 新ロゴは今春受納予定の新機材から導入し、3月には国際線で運用を開始する予定。既存の航空機は、再塗装の時期となり次第、順次更新していく計画で、全航空機の変更には8年かかる見込みという。


▽整理解雇対象者が東京地裁に提訴、稲盛氏、誠意を持って対応

 稲盛氏は、2010年12月31日付けで整理解雇された社員ら146人が東京地裁に提訴したことに対し、「(人員削減は)断腸の思い。私も何とかならないか自問自答してきた」としながらも、人員削減は更生計画に組み込まれており、「債権者を含めた皆様に約束したことを簡単に反故にするのは、今後の再生にとってプラスにならない」と理解を求めた。今後は「訴訟となっても誠意をもって皆さんと話していきたい」考えだ。

 なお、整理解雇は2010年12月31日付けで実施されており、運航乗務員81人、客室乗務員84人、計165人が対象だった。