JTB、トラベランド店舗を地域各社に再編−首都圏法人営業、国内仕入関連も

  • 2010年10月5日
 ジェイティービー(JTB)グループは2011年4月1日、店舗網、首都圏の法人事業、国内商品事業部について事業を再編する。店舗網では、ショッピングセンター内などの小型店舗を全国展開するJTBトラベランドを会社分割し、各地域事業会社に事業を継承。これにより、店舗運営を地域ごとに一元化する。また、地域ごとに仕入から企画、販売までの連携を強化し、地域に密着したかたちでの事業領域の拡大と効率化を推進する。JTBグループでは、将来的に各地域会社をデスティネーション・マネージメント・カンパニー(DMC)として展開する計画で、今回の再編もその実現に向けた取り組みの一環だ。


▽JTBトラベランドを分割、地域会社が事業を継承し店舗運営一元化へ

 JTBトラベランドの分割では、JTBグループが9月末時点で展開する823店舗のうち、JTBトラベランドの415店舗をJTB首都圏やJTB大阪など各地域会社に再編。JTB経営企画担当部長の大山恵一氏によると、「店舗ネットワークを減らす、という主旨ではない」といい、現在ある415ヶ所の店舗すべてを一旦は各地域会社が引き継ぐ。ただし、重複する要素があれば整理する可能性もあり、各地域会社が判断するという。なお、現時点で総合型店舗を増やす計画はないが、小型店舗は2011年度以降に10店舗を新たに展開する予定だ。

 今回の店舗ネットワーク再編の軸について大山氏は、“小規模・利便性重視型店舗”の展開と説明。これはJTBトラベランドがとってきたビジネスモデルで、JTBが最低でも約50坪のスペースに10数名の人員で、裏方業務も各店舗で担っているのに対し、JTBトラベランドでは1店舗あたり約20坪のスペースに平均6.5名のスタッフを配置し、販売促進や清算などの業務は集約。これにより、店頭スタッフが基本的に販売に専念できるため、運営効率が高いという。

 一方、再編のねらいでは、これまでは全国で同一のビジネスモデルを採用していたものの、各地域で特性の異なる市場への対応、発着地としての地域性を持った商品造成、人の流動性の観点から、地域単位での店舗展開を重視。「今までのJTBトラベランドの全国一律の強みを地域ごとに吸収させていく」考えだ。また、首都圏での専門店の展開や、大都市圏の店舗で“発”と“受け”業務を一体化させることでDMCとしての拠点化のほか、電話応対や後方業務の集約化なども進めていく。

 なお、JTBトラベランドについては、事業は全て地域会社に承継するが、2010年度の決算業務やシステム移行などの都合により2011年以降も法人格のみを存続する予定。また、415店舗の再編で人員ベースでは約3200名が各地域会社に転籍することとなるが、コスト削減を目的とした人員整理の予定はない。労務体制については、各地域会社で委員会を立ち上げて検討中だ。なお、継承会社は下部を参照のこと。


▽首都圏の法人営業機能集約や国内商品事業部の仕入機能強化も

 首都圏の法人事業では、JTB首都圏でも取り扱っていた東京、千葉、神奈川地区の法人営業、官庁営業、教育旅行営業部門の機能をJTB法人東京に集約。また、地域密着の観点から、埼玉地区はJTB関東へ継承する。これにより、スキルやノウハウの集中化、高度化をはかり地域交流ビジネスやMICE、異業種との提携におけるセールスプロモーションといった事業の拡大をめざす。JTB首都圏では、1都3県の店頭販売事業や通販事業、提携販売事業、国内海外仕入造成機能を担うこととなる。現在、JTB首都圏の法人拠点は1都3県の24拠点で、このうち、18拠点はJTB法人東京に、6拠点はJTB関東に移管する。

 JTB国内商品事業部では、現地仕入部門の強化をはかる。現地サプライヤーとの関係強化により店頭販売の主力となる企画商品の高付加価値化や、間際化、時価商品化するマーケットへの対応、宿泊施設や受入施設などのラインナップ強化に向けて取り組んでいく。特に、宿泊施設営業は人員の増強をはかり、各施設との連携を深めていく。また、新たな仕入手法の開発にも取り組む。


▽JTBトラベランドの事業を継承する地域旅行事業会社
(地域/社名/都市)
北海道/JTB北海道/北海道
東北/JTB東北/青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島
関東/JTB関東/茨城、栃木、群馬、新潟、山梨
首都圏/JTB首都圏/埼玉、千葉、東京、神奈川
中部/JTB東海/富山、石川、福井、長野、岐阜、静岡、愛知、三重
西日本/JTB大阪/滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山
中国四国/JTB中国四国/鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知
九州/JTB九州/福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島