全旅、クーポン正会員の保証料廃止で利用増へ、21年に400億円めざす

  • 2019年1月21日

 株式会社全旅は1月21日、全旅クーポン制度を改定し、正会員から徴収していた「保証料」を廃止した。全旅クーポンは宿泊施設や観光施設、日本旅行の企画商品などの精算で使えるクーポン券で、全旅クーポン会に入会した旅行会社が利用できる。会員数は全国旅行業協会(ANTA)会員を中心に約2300社で、このうち正会員は1800社、準会員は500社。同社によれば、2017年は310億円分のクーポン券の利用があったといい、今回の制度変更により、会員数のさらなる増加と、クーポン券の利用促進に向けた取組を強化。21年には約400億円の利用をめざす。なお、準会員については保証料を引き続き徴収する。

 保証料はクーポンの発券額に応じて決定しており、正会員は発券額の0.4%、準会員は1.98%。正会員は20万円から300万円までの「預託保証金」を預け、クーポン券を1ヶ月あたり預託保証金の10倍の金額まで発券できる。準会員は預託保証金は不要だが、1ヶ月あたりの発券限度額は100万円まで。正会員の保証料を無くすことで、準会員の正会員化を促したい考えだ。

 全旅クーポン会では1998年から、宿泊施設などのサプライヤーに対し、支払いの100%全額保証制度を開始。制度の安定的運用やシステム開発などの費用として、2009年10月に全旅クーポン会会員向けに保証料制度を導入した。全旅によれば、旅行会社の倒産などにより、年間で平均2000万円くらいの負担が発生しているところ。保証料の廃止が100%全額保証制度に与える影響については、サプライヤー側から精算手数料を徴収していることもあり、「旅行会社が積極的にクーポンを利用し、全体のボリュームが増えることである程度カバーできる」という。

 なお、全旅では正会員の増加をめざしたキャンペーンを実施。通常5万円の入会金について、3月29日までの新規入会で無料、4月1日から6月28日までの入会で2万5000円に割り引く。

宿泊予約サイト「Trip全旅」開始、航空券の取扱も視野に

Trip全旅告知チラシ  また、全旅ではクーポン会員へのサービス強化策として、1月21日から会員向けの無料オンライン予約システム「Trip全旅」の提供を開始した。国内の旅行会社が提供する旅行予約システムをOEM形式で利用するもので、国内外の宿泊施設約22万軒が検索・予約できる。客室は1度に最大80室まで予約可能。このほか、主要都市の空港/ホテル間の送迎も予約できる。将来的には国内外の航空券にも対応する予定という。初年度の目標取扱額は2億円。

 精算は全旅クーポンで実施。旅行会社は販売手数料を収受できる。会員はANTA-NETにログイン後、Trip全旅にログインしてシステムを使用する。