日本旅館協会とPayPalが提携、訪日客の利便性を向上
日本旅館協会は6月14日、電子決済サービスなどを提供するPayPal(ペイパル)と業務提携を締結した。同協会の会員施設が自社サイトでのオンライン決済の手段としてペイパルを導入できるようになるもの。日本人旅行者に加え、急増する訪日外国人旅行者の決済における利便性の向上をはかる。また、ノーショウや当日キャンセルへの対策としての役割にも期待。さらに、ペイパルが持つ約1億8000万人のアクティブユーザーへの情報発信を通じて、稼働率の低い地方の旅館への集客にも取り組む。
ペイパルは、利用者がインターネット上でIDとパスワードを入力することで決済ができる決済サービス。利用者は事前にクレジットカードなどの情報をペイパルに登録しておくことで、決済のたびにカード情報などを入力する手間が省け、企業側もカード情報を保有するというリスクを負わずに済むという。
ペイパルは既に、宿泊施設の予約システム「FASTBOOKING」「予約プロプラス」と決済システムで連携している。また、「OPTIMA」「ダイレクトイン」「予約番」「宿シス」とも決済システムの開発を進めており、7月を目途に完了する予定。旅館はこの6つの予約システムのいずれかを導入することで、利用者にペイパル決済を提供できるようになる。
そのほか、ペイパルでは電話やメールなどウェブサイト以外での予約で利用できる「請求書ツール」を用意。利用者のメールアドレス宛に事前決済の請求書を送付できるもので、利用者はメール画面上からペイパルでの決済が可能となる。
日本旅館協会会長の針谷了氏は、同日に開催した記者発表会で、「旅館においても一昨年から訪日外国人旅行者数は増えている」としつつ、「利便性を高めないとさらなる増加は望めない」と需要獲得の目的を説明。また、ペイパルラージマーチャントセグメント統括部長の橋本知周氏は、「海外のお客様から、旅館の決済にペイパルは使えないのか、という問い合わせが多く寄せられている」と話し、「全国の優良施設の集合体である日本旅館協会と提携することは大きなメリット」と述べた。
針谷氏によると、現在、会員施設のうち約9割がオンライン予約システムを導入しているが、ペイパルでの決済をおこなっている施設はほとんどない。しかし、ペイパルによると、今年5月に北海道で温泉リゾートを展開する「鶴賀グループ」がペイパルでの決済システムを導入。以降、ペイパルを導入する宿泊施設数は順次拡大しているという。