金沢・湯涌温泉の旅館2軒が特別清算開始、負債計8.6億円
東京商工リサーチ(TSR)によると、石川県金沢市の湯涌温泉で「湯の出旅館」を運営していた千代野(旧社名:湯の出旅館)と、「かなや旅館」を運営していたアンドウ(旧社名:かなや旅館)はそれぞれ、3月4日に金沢地裁から特別清算の開始決定を受けた。負債総額は千代野が4億6000万円で、アンドウが4億円。TSRによれば両社は資本関係などのない全く別個の会社という。
湯の出旅館は自然に囲まれた環境と、素材を活かした料理を強みとして展開。しかし客室総数が10室と小規模であることや、近年の景気低迷などにより、年間の売上高は約1億円にとどまっていた。
一方、かなや旅館は1933年に「内湯かなや旅館」として創業。数回の改装を経て、地元客を中心に知名度を高め、バブル期には年間3億円以上の売上高を計上していたが、近年は景気の低迷などにより売上高は2億円程度に減少していた。
そのようななか、両社は経営基盤を強固にするため、それぞれ金融機関などの支援のもと、過去の負債整理を柱とする財務リストラを実施。ともに2014年10月3日付けで新会社を設立し、15年1月5日付けで会社分割により主な事業を新会社へ移管した。15年5月には現在の商号に変更し、7月17日付けの株主総会の決議により解散した。
なお、2軒の旅館は現在、ともに新たな会社が経営。北陸新幹線の開業効果もあり、いずれも経営状況は好調だという。