JTB高橋社長、五輪後の目玉は「TaaS」、需要の創出がカギ-新春インタビュー
一番の成長分野は法人事業
グローバル事業でめざすB2B
「第3の創業」を掲げ、旅行事業からソリューション事業へとビジネスの軸足を移そうとするJTB。海外老舗旅行会社の代名詞でもあったトーマス・クックすら破綻する現代において、JTBが進める経営改革の現状と見えてきた可能性とは――。2020年を迎えるにあたり、JTB代表取締役社長執行役員の高橋広行氏(高ははしご高)に聞いた。
-まずは19年の振り返りから
高橋広行氏(以下敬称略) 19年はグローバルMICEの年と言ってきたが、大阪でのG20、横浜のアフリカ開発会議、天皇陛下の即位式典、ラグビーW杯と、大規模会議やイベントが目白押しだった。その直接効果はもちろん、日本の魅力、地方の魅力を世界に発信できたことも大きかった。
一方、ネガティブ要素だったのは今年も自然災害だ。10月の台風は団体旅行の最盛期を直撃し大きな影響を及ぼした。今後は、これまでになかったような自然災害を前提に減災や安心安全の確保を考えていく必要があると痛感させられた。
またリアルエージェントの象徴的な存在だったトーマス・クックの破綻はショッキングだった。対岸の火事ではなく他山の石とすべき出来事だ。同社の破綻は我々も直面する課題そのものが引き金となったと見ていて、重く受け止めている。
-トーマス・クック破綻はデジタル対応の失敗が一因とされていますが、JTBの状況は
高橋 リアルエージェントも、この時代にウェブ販売をしない選択肢はあり得ない。店舗とウェブとの適正なバランスが待ったなしの課題だ。「デジタルとヒューマンタッチの融合」によって「ならでは」の価値を作り上げることが今回の経営改革の肝でもある。