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トップインタビュー:成田国際空港代表取締役社長の夏目誠氏

  • 2013年10月15日

「選ばれる空港」めざし攻めの姿勢、LCCへの取り組み強化

 1978年の開港以来、日本の海外旅行の最重要拠点としての役目を担っている成田空港。しかし、オープンスカイの進展や、羽田で2013年度末に予定されている国際線9万回化、仁川空港をはじめとしたアジア主要空港の成長などにより、競争環境が大きく変化してきている。こうした中、成田国際空港(NAA)では、このほど2013年度から15年度までの中期経営計画を策定し、利用者や航空会社から「選ばれる空港」をめざし積極的な活動を展開している。今後の空港運営や戦略について、代表取締役社長の夏目誠氏に聞いた。


-社長に就任されて1年強が過ぎました。振り返ってのご所感をお聞かせください

夏目誠氏(以下敬称略) 激変激動の航空業界だったと思うが、こうした中で、空港の安全、経営強化、特に競争力強化に向けて努力してきた。今年3月末から成田空港にもオープンスカイが始まり、自由競争の時代に入った。成田の国家的使命、役割をきちんと完遂していくことを再認識しているところだ。

 2012年度を振り返ると、航空機発着回数は21.2万回に達し、初めて20万回を超えて過去最高を記録した。昨年7月からの日系LCCの就航により、国内線旅客も前年比93%増と過去最高となった。国際線旅客のうち日本人旅客は、中国線などの需要の落ち込みによりここ数ヶ月前年割れが続いているが、外国人旅客数は円安や東南アジアでの訪日ビザの緩和などで順調に増えており、前年比約2割の増加が続いている。

 中期経営計画のもとで選ばれる空港をめざす中、経営の効率化を進めるために組織の改編も実施した。8部門から7部門に減らし、4つの部室を廃止。さらに役員も4人減らした。一方、新たなニーズに対応するために、エアライン事業部を新設するとともに、LCCターミナル供用準備室も立ち上げた。

 また、オープンスカイ、羽田国際線二次増枠、アジアの空港との競争激化を踏まえ、新しい中期経営計画「イノベイティブNarita2015」を策定。空港間競争の激化に対応すべく3つの基本戦略を立てた。その中核となるのは「選ばれる空港づくり」。時代の変化に合わせて、たえずイノベーションにチャレンジして、主体的に「選ばれる空港」としての評価を勝ち取っていかなければならない。航空会社に選ばれなければ、成田の将来はないという認識だ。

 そのほか、「安全の徹底追求」や「経営体力の強化」に取り組むとともに、非航空収入の拡大もはかる。機材の小型化や軽量化によって航空系の収入が伸び悩む中、リテール収入による経営体力の強化が重要になっている。2015年度までに空港全体の免税、物販、飲食店の売上高で、2012年度比の約2割増にあたる800億円をめざしていく考えだ。