エアプサン、新千歳線を12月に、関空と福岡は増便―日本路線拡充

  • 2015年9月7日

BX代表取締役社長の韓泰根氏  エアプサン(BX)代表取締役社長の韓泰根(ハン・テグン)氏はこのほど、釜山の本社で本誌の取材に応え、日本路線の拡充計画や今後の市場展開の方針について語った。12月3日からは釜山/成田、関空、福岡線に次ぐ4路線目として、新たに釜山/新千歳線の運航を週3便、全195席のエアバスA321-200型機で開始。また、10月25日からは1日3便で運航している福岡線を1日4便に増便するほか、1日2便から3便を運航して週18便を運航している釜山/関空線を、毎日3便で運航する。韓氏は「釜山にとって日本は最も近い国であり、特に福岡や関空は好調に推移している」と現況を説明した。

 同社は、2007年にアシアナ航空(OZ)や地元企業などの出資により設立された、釜山を拠点とするLCCで、日本路線については10年春に関空線と福岡線の就航を開始。同年7月には釜山/成田間でチャーター便の運航を開始し、11年6月には定期便化している。成田線については東日本大震災の直後に就航したことなどが尾を引き、他の2路線に比べて収益性の面で劣るが、韓氏は「今後は状況も好転する」との見方を示し、早期に1日2便化したいとした。

BXの本社。釜山商工会議所内にオフィスを構える  そのほか、今年2月に開始したのち、中東呼吸器症候群(MERS)の発生で一時中断していた羽田/釜山間の双方向チャーター便を、9月18日から再開することについても言及。「羽田は競争力と可能性のある空港。(将来の定期便化に向け)実績を見せたい」と意欲を見せた。新たな就航地となる北海道については、訪日韓国人旅行者の急増について述べた上で「釜山を含む韓国の東南圏の人々に、新たな旅行先を提供したい」と説明。「温泉などがあり、観光に“プラスα”を求める新たな旅行者には魅力的なデスティネーション」と語った。同路線には現在、大韓航空(KE)が就航している。

 韓国では既に一般消費者の認知度が高いことから、インターネットによる直販が最も多くなっているが、日本市場での展開については、当初から重視している旅行会社との協働を今後も強化する方針を示した。日本線の利用者は現在、日本発と韓国発が半分ずつで、日本における販売の約8割は旅行会社によるもの。他の韓国系LCCとの差別化などに向け、機内での軽食や飲み物の提供、無料の手荷物預かりの実施、OZから譲り受けた機材のシートピッチの維持など、FSCに近いサービスをおこなってパッケージ商品での活用を促してきたが、今後もそれらの取り組みを強化する。

 韓氏は、一方で同社がマンパワーの効率化や空港サービスの外部委託などによりコスト削減に努め、設立から3年で黒字化を達成し、以後は5年連続で黒字を継続していることをアピール。「設立した頃は、韓国でもLCCに対する信頼度は高くなかった」ものの、サービスに加えて機材整備など安全面にも注力したことにより、同国で認知と信頼を獲得できたという。

 そのほか、早ければ来年にも設立されると見られている、ソウルを拠点とするOZ系の新たなLCC「エアソウル」(仮称)については、同じOZ系のLCCとして「シナジーを生み出したい」と意欲を示した。エアソウルは、OZが減便などを実施する予定の収益性の低い一部の日本線を後継して運航する見通し。韓氏は、同社との協業については「全便でコードシェアが可能と考えている」と述べた。

 5月に発生したMERSの影響については、「6月から8月までの3ヶ月間で売上高が200億ウォン減少し、非常に厳しかった」と説明。しかし事態が終息に向かい、韓国政府が7月末に安全宣言を出したことなどにより状況は改善し、9月以降については影響は見られていないとした。

▽BX、釜山/新千歳線運航スケジュール(12月3日~)
BX181便 CTS 16時00分発/PUS 18時45分着(火)
BX181便 CTS 12時55分発/PUS 15時40分着(木)
BX181便 CTS 17時55分発/PUS 20時40分着(日)
BX182便 PUS 12時45分発/CTS 15時05分着(火)
BX182便 PUS 09時40分発/CTS 12時00分着(木)
BX182便 PUS 14時30分発/CTS 17時00分着(日)