JATA田川氏、海外旅行に「1つの区切り」-プロダクトアウト促す

  • 2015年7月2日

JATA会長の田川氏  日本旅行業協会(JATA)会長の田川博己氏は7月1日の記者会見で、低迷する日本の海外旅行市場について「最高で1800万人台に達した時代もあったが、今年は1600万人も危うい」と述べ、個人的な意見として「海外旅行に1つの区切りが付き始めている」と語った。特にレジャーについては「海外旅行の意味を考えなおす時期に来ている」とし、今後は企業が商品開発において消費者のニーズを重視するマーケットイン型の発想から、企業側の姿勢を優先させるプロダクトアウト型の発想に戻すべきと主張した。

 田川氏は「マーケットがこれだけ多様化し複雑化したなかで、ハワイなどを除けば、従来のマーケットインだけで商品造成するのは無理がある」と説明。「これまではマーケットが大きかったので商品を投入すれば売れたが、その時代は終わったのでは」との見方を示した。その上で若い女性やシニアなどの成長市場にばかり商品を投入するのではなく、大手旅行会社も含めて、プロダクトアウト型の発想で市場を開拓すべきと提唱した。

 プロダクトアウト型の商品については、販売効率が低くなるデメリットがあるものの、中小旅行会社が販売している特色ある商品などは堅調に推移していると説明。米国本土やヨーロッパ方面のパッケージツアーについても、プロダクトアウト型の商品は好調との見方を示した。

 また、国内旅行についても「マーケットイン(の商品)よりも、地域ごとに色々な商品を開発して、それを発地に売り出しているものが売れている」と強調。インターネット販売の比率が増すなかでも国内旅行が活性化したのは、旅行会社がプロダクトアウト型の商品造成に取り組んだ結果と説明した。