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現地レポート:ダーウィン&カカドゥ、豪州の新デスティネーション誕生

  • 2012年11月15日

生態系豊かな自然と先住民の史跡が彩る
世界複合遺産のカカドゥ国立公園と州都ダーウィン

アボリジニのロックアートが残るウビル。カカドゥのナダム大湿原を一望する絶好のポイントだ  オーストラリア・ノーザンテリトリー北部の州都ダーウィンが、新デスティネーションとして名乗りを上げた。日本での認知度はまだ低いが、エネルギー開発で経済的にも勢いがあり、周囲には世界複合遺産のカカドゥ国立公園などの観光素材が点在する。今年、ジェットスター航空(JQ)がアジア経由で日本路線を開設したのを機に、ノーザンテリトリー政府観光局もプロモーションを開始。先ごろ実施されたダーウィンとカカドゥ国立公園の研修旅行では、参加した旅行会社は大きな可能性を感じていた。


ハイライトのカカドゥ国立公園
豪州で上期がシーズンのデスティネーション

クルーズ中はカカドゥの生態系の豊かさを感じる。写真はスイレンの葉の上を歩ける小さな鳥、ジャカナ ダーウィンとカカドゥ国立公園は「トップエンド」(大陸の果て)と呼ばれるノーザンテリトリー北部に位置する。このデスティネーションのハイライトとなるのはやはり、世界遺産であるカカドゥ国立公園だ。

カカドゥで人気の鳥、ジャビル。コウノトリの一種  ダーウィンから東へ約250キロ、日本の四国とほぼ同じという広大な面積を誇り、海へ注ぐ3つの大河を中心に湿地帯や渓谷が広がる。ユーカリやパンダナスなど1600種以上の植物やワニ、ワラビー、バッファローなど多種多様な野生動物が生息。特に鳥類はオーストラリアで見られる3分の1、約280種が棲むという。赤い岩山と水辺、植物の色合いが美しいダイナミックな景観と、そこに息づく野生生物の豊かさが魅力のひとつだ。

ボートは51人乗りで、計5台。1日6回催行されるが、夕刻のサンセットクルーズは人気が高い  そんなカカドゥを象徴する観光といえば、サウスアリゲーター川でのイエローウォータークルーズだろう。2011年にオーストラリア・ツーリズム・アワードの銀賞を受賞した、国内でも評価の高いアトラクションだ。水際で休むジャビルやカワセミなどの鳥類、船のすぐそばを悠然と泳ぐイリエワニ、湿原で草をはむ馬やワラビーなど、野生の営みが肌で感じられる。また、ハスやスイレンが浮かぶ水場に、雲や木々が映り込む湿原全体の景観も美しい。

ジャンピング・クロコダイルクルーズは、ボートのすぐそばで迫力がある。見られるワニの数も多い  このほか、動植物を目当てとする観光では、バードウォッチャー垂涎の大湿原「マムカラ・ウェットランド」や、国立公園内ではないが、ダーウィンから約1時間で着くアデレード川での「ジャンピング・クロコダイルクルーズ」が気軽に訪れられる。

 なお、ダーウィンとカカドゥは熱帯気候に属する。大きく乾季と雨季に分かれ、それぞれに異なる景色を見せる。ベストシーズンは5月から10月の乾季。日本の上期にシーズンを迎える重要なデスティネーションだ。雨季はマムカラ・ウェットランドのように立ち入りできない場所もあるが、AATキングスではカカドゥへのツアーを通年実施しており、浸水したユーカリ林のなかを船で渡るなど、乾季とは別の体験もあるという。ツアーを企画・案内するには、季節による違いと魅力を把握することが大切だ。