全国旅行支援延期、9月実施案も浮上 政府「Go To」の二の舞い懸念

首相官邸=東京都千代田区
首相官邸=東京都千代田区

政府は全国を対象とした新たな観光需要喚起策「全国旅行支援」について、予定していた7月前半の開始を延期する方向で調整に入った。政府関係者が7日までに明らかにした。新型コロナウイルスの感染者増加に警戒感を強めているためだ。夏休みの旅行需要が増す8月を避け、9月以降に延期する案も政府内で浮上している。

全国旅行支援は都道府県による「県民割」を全国に広げるもので、割引とクーポンを合わせて1泊当たり最大1万1千円補助する。木原誠二官房副長官は7日の記者会見で、開始時期に関し「足元の状況も踏まえ、総合的に見極めた上で7月前半のうちに適切に判断したい」と述べた。

国内では6日、約2カ月ぶりに4万人を上回る感染者が確認された。政府内には、この局面で観光支援を打ち出せば、安倍晋三政権下の令和2年7月に開始し、「感染拡大に影響した」との政権批判を招いた観光支援事業「Go To トラベル」の二の舞いになりかねないとの懸念が高まった。

政府高官によると、全国旅行支援は当初、1日に「11日開始」と発表する方向で調整していた。だが6月下旬以降、首都圏で感染者が増加傾向に転じたことから首相官邸が「待った」をかけたという。

首相周辺は「感染状況を悪化させれば政権にとって打撃だ」と語る。政府は全国旅行支援の延期に伴う観光支援の空白期間を埋めるため、今月14日が期限の県民割については延長することを検討している。(竹之内秀介)

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