ベトナムFLC会長を逮捕 株価操作などの疑い
【ハノイ=大西智也】ベトナムの公安当局は29日、複合企業大手FLCグループのチン・バン・クエット会長を自社の株価操作と情報隠蔽の疑いで逮捕したことを明らかにした。同社は傘下に航空大手のバンブー航空を持つ。創業者でもあるクエット氏が逮捕されたことでグループ経営にも大きな影響を与えそうだ。
複数の現地メディアは「クエット氏の取引により、投資家に深刻な損害を与え、ベトナムの株式市場の運営に影響を与えた」と報じている。
FLCグループは30日に公表した声明で「初期の調査段階であり、正式な結論は出ていない」とした上で「我々の事業活動の方向性に影響を与えたり、変更したりすることはない」と述べた。同社はホーチミン証券取引所に上場する。
クエット氏の逮捕を受け、FLCグループ副会長のブー・ダン・ハイ・イエン氏が同社とバンブー航空の会長職を代行する。
クエット氏は今年1月、保有していた7480万株のFLC株を売却したが、大量売却時に必要な証券当局への事前の届け出を怠った。当局はその後、15億ドン(約800万円)の制裁金と5カ月の取引禁止の罰則を科した。同氏は2017年にも無届けで5700万株のFLC株を売却したとして、6500万ドンの罰金を科されている。
クエット氏はハノイ法科大を卒業し、弁護士資格を持つ。08年に前身となる不動産会社を設立し、19年1月に航空事業に参入した。FLCグループ傘下のバンブー航空はベトナム航空グループ、格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエアに次ぐ、国内3位の航空会社と位置づけられている。
関連企業・業界