まん延防止、2カ月半ぶり全面解除決定 経済再開に軸足
政府は17日、新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」に関し東京や大阪など18都道府県について21日の期限で解除すると正式決定した。およそ2カ月半ぶりに全国で対象地域がなくなる。新規感染者数は減少傾向に転じており、軸足を徐々に経済活動の再開へと移していく。
持ち回りの政府対策本部で決めた。解除するのは北海道、青森、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、静岡、愛知、岐阜、石川、京都、大阪、兵庫、香川、熊本の18都道府県。一時は36都道府県まで広がっていた。
緊急事態宣言に準じる重点措置の解除により、政府が飲食店に営業時間の短縮や酒類提供の制限などを要請することはなくなる。イベント開催でも定員まで収容できるようになる。17日に改定した新型コロナ対策の基本的対処方針には「経済社会活動の正常化を図っていく」と明記した。
岸田文雄首相は重点措置の解除後を「平時への移行期間」と位置づける。感染拡大を回避するため、マスクの着用などの基本的な感染対策は引き続き求める。大阪府の吉村洋文知事は解除後も飲食店に求めている人数制限を継続する考えを示している。
足元の全国の新規感染者数は1週間平均で5万人台と減少ペースは鈍い。より感染力が強いとされるオミクロン型の派生型「BA.2」への置き換わりが進む懸念もある。政府は感染再拡大を警戒して感染抑止策や医療提供体制を保ちつつ、経済社会活動の本格的な再開を探る。
重点措置は新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、飲食店に時短営業や非認証店に酒類提供の停止などを求める。5人以上の会食を回避するよう要請できる。イベントの参加人数も感染防止計画の策定などの条件をつけて2万人に制限してきた。
政府は11日に示した重点措置の新しい基準で、病床使用率が従来の目安の50%を超えていても、感染者数がおおむね減少傾向にあって医療負荷の軽減が見込めれば解除できるとした。
今回、18都道府県への適用解除はこの新しい基準に基づいて判断した。都市部などで病床使用率がなお高い自治体もあり、感染対策への配慮が必要な状況は続く。
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