ホテルのアメニティ「脱プラ」で春からなくなるの?環境省に聞いてみた

ホテルアメニティ

春からホテルのアメニティはなくなってしまうのか?

Hatchapong Palurtchaivong/Shutterstock.com

2022年4月から施行される、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(通称:プラスチック資源循環促進法)。

法律の施行が迫る中、Twitter上では「ホテルの客室にアメニティを置くことが出来なくなる(リサイクル製品以外)」とするツイートが3万7000件以上リツイート(3月11日13時現在)され、話題を呼んでいる。他にも「コンビニや飲食店で配布されていたスプーンやフォークが有料になる」など、さまざまな「噂」が流れている。

本当に、コンビニのプラスチックカトラリーやホテルのアメニティは有料になったり、なくなったりしてしまうのか。

新法で「設置禁止」や「有料化」が義務になるわけではない

特定プラスチック製品

特定プラスチック使用製品とされる12品目と対象事業者。

画像:環境省

プラスチックカトラリーなどの製品は、プラスチック資源循環促進法における「特定プラスチック使用製品」の12品目に含まれている。現状では無償で提供されているケースが多く、さらに一度しか使われずに、そのまま捨てられてしまうケースもままある。

今回の法律は、12品目を年間5トン以上取扱う小売業などに対して、特定プラスチック使用製品の使用の「合理化」を求めるものだ。

環境省が整備している特設サイトには、

「『特定プラスチック使用製品』の削減に向けて目標を設定し、特定プラスチック使用製品の使用の合理化に取り組んでいただきます」

と記載されており、少なくともプラスチック製品の使用や設置が「禁止」されるわけでもなければ、有料化が義務化されるわけではない。ただ、だからといって何もしなくても良いわけではなく、取り組みが著しく不十分な場合には「勧告・公表・命令・罰則」を受ける可能性はある。

環境省リサイクル推進室の平尾禎秀室長は、Business Insider Japanの取材に対し、

全部なくなるという法律ではなく、なんらかの方法で削減の対策を取ってくださいという法律です。どういう方法を取るかは事業者さんの判断になっています。例えば提供方法を変える、材質を変える、いろんな取り組みが見られています。『一切提供しない』という判断をする事業者は、あまり聞いていないんですよね」

と語る。

この「合理化」の先行事例の一つとして、確かにスプーンやフォークなどのプラスチックカトラリーを有償提供したり、フロントにアメニティカウンターを設置して客室から取り除いたりといった提供方法の変更をする事例はあるという。

ただ、再生プラスチックや代替プラスチックの活用によってサービスを維持する対応や、設計を合理化して、プラスチック使用量を削減するという対応も考えられる。

レジ袋有料化の事例と比較しても、事業者の選択肢はかなり幅広い。そのため、ユーザー側からすると「こう変わる」と一概に言い切れない不便さは生じるかもしれない。

なお、環境省の特設サイトでは、特定プラスチック使用製品を提供している事業者に対する判断基準として、以下の内容を公開している。

特定プラスチック使用製品提供事業者の判断基準の概要

1.目標の設定

特定プラスチック使用製品の使用の合理化に関する目標を定め、これを達成するための取組を計画的に行うこと。

2.特定プラスチック使用製品の使用の合理化

特定プラスチック使用製品の使用の合理化のための取組を行うことにより、プラスチック使用製品廃棄物の排出を抑制すること。

3.情報の提供

店頭で排出の抑制に資する事項を掲示する、使用の合理化の取組内容をインターネット等で公表する、提供する特定プラスチック使用製品に排出の抑制の重要性に関する表示を付すといった、消費者による排出の抑制を促進するための情報を提供すること。

4.体制の整備等

特定プラスチック使用製品の使用の合理化のための取組に関する責任者の設置といった体制の整備を行うこと。

従業者に対し、特定プラスチック使用製品の使用の合理化のための取組に関する研修といった措置を講ずること。

5.安全性等の配慮

特定プラスチック使用製品の使用の合理化を図る際には、安全性、機能性その他の必要な事情に配慮すること。

6.実施状況の把握

特定プラスチック使用製品の提供量、使用の合理化のために実施した取組及びその効果を把握し、インターネット等で公表するよう努めること。

7.関係者との連携

特定プラスチック使用製品の使用の合理化のための取組を効果的に行うため、国、関係地方公共団体、消費者、関係団体及び関係事業者との連携を図るよう配慮すること。その際、必要に応じて取引先に対し協力を求めるものとすること。

8.加盟者における特定プラスチック使用製品の使用の合理化

本部事業者は、加盟者の事業において提供する特定プラスチック使用製品について、使用の合理化に関し必要な指導を行い、プラスチック使用製品廃棄物の排出を抑制するよう努めること。

加盟者は、本部事業者が実施する特定プラスチック使用製品の使用の合理化のための措置に協力するよう努めること。

(文・三ツ村崇志

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