MICE誘致で描く松山のアフターコロナ

松山観光コンベンション協会のある建物の前に設置されている「坊っちゃん」と「マドンナ」の像
松山観光コンベンション協会のある建物の前に設置されている「坊っちゃん」と「マドンナ」の像

「松山」のブランド力を向上させ、企業の会議や学会の誘致などにつなげようとする取り組みが進んでいる。各種団体が行う会議、展示会などの開催で、経済波及効果を生み出す取り組みはMICE(マイス)と呼ばれる。公益財団法人松山観光コンベンション協会は、観光庁のコンベンションビューロー支援事業に令和2年度に選ばれたことから、タグラインとロゴマークを作成。アフターコロナを見据え、地方の持つ魅力を発信するためのツールとして用いるという。

MICEは、Meeting(企業などの会議)、Incentive Travel(企業などが行う報奨・研修旅行)、Convention(団体、学会が行う会議)、Exhibition/Event(展示会、見本市、イベント)-の頭文字をとって作られた造語で、多くの集客と交流が見込まれるビジネスイベントの総称だ。

政府はMICEに積極的に取り組むための施策として、観光庁によるコンベンションビューロー支援事業を開始。松山市は令和2年度に採択されていた。

MICEブランド考案に際し、地域特性をイメージ化し、まずタグラインを作成した。コンセプトは「Words Spring and Bloom」。

松山MICEブランドロゴマークのピンバッジ
松山MICEブランドロゴマークのピンバッジ

文学者、俳人として知られる正岡子規ら多くの文人を輩出し、夏目漱石の小説「坊っちゃん」の舞台となったことなどから、松山市は「ことばを大切にするまちづくり」を進めており、コンセプトにもWordsを採り入れ、アイデアが湧き開花するとの意味を込めた。Springには温泉のほか、飛躍・跳躍の意味もある。また、Bloom(開花する)は松山でのMICE開催が華やかで変化や功績をもたらすことをイメージしているとしている。

ロゴマークは3年度に作成。緑色と黄色の2本ラインが弾むように松山市の頭文字「M」を表現。赤い丸は生まれ出るアイデアや成果で、松山市の市花・ツバキの花となっている。

協会コンベンション推進部の織田太一郎課長は「お遍路に代表されるように松山には『おもてなし』の文化がある。俳句やことばを大事にする背景も。道後温泉に入ってゆったりすることで、新たな交流が生まれ、イノベーションが生まれ、大会の成功、交流の発展につながる」とMICEを松山市で開催する意義を話している。

しかし、新型コロナのMICEへの影響は大きく、多くのイベントや会議が延期や中止に。開催の場合はインターネットによるオンラインとなる流れが定着した。協会によると助成金交付対象となる100人以上の規模のものは今年度48件の予定だったが、実際の開催は4件にとどまった。4年度は39件の助成金交付申請が出ているという。

「オンライン開催ではなく、直接集まってコミュニケーションをしたいという欲求はあると思うのですが」と織田課長。アフターコロナに向けて、新たなロゴマークを活用して松山市の知名度アップに努めるとしている。

観光庁のコンベンションビューロー支援事業採択は、2年度が同市と岡山市だった。3年度は高松、鹿児島、熊本の各市となっており、政府として地方都市で国際会議を増やしていきたいという思惑を込めているという。(村上栄一)

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