西松建設、バンコクでホテル開発 オークラと240億円で
西松建設は18日、タイのバンコクでホテル開発に乗り出すと発表した。ホテルオークラ系に運営を委託、高級ホテルブランドの「グランドニッコー」で営業する。2022年に着工、25年開業をめざし、総事業費は240億円を見込む。西松建設は建設事業以外の収益源強化に向けて、海外での大型開発事業を本格化させる。
開発するホテルの計画地はバンコクのビジネス街であるサトーン通りに面し、日本大使館や日系企業の拠点からもほど近い。地上35階建て地下1階、スイートルーム13室を含む405室で、日系企業幹部の出張需要を見込んだ長期滞在用の客室も36室設ける。コンベンション会場向けの大型宴会場も設けており、国際会議などの需要も取り込みたい考えだ。
バンコクでは集中豪雨による洪水被害が多発していることから、雨水貯水槽や備蓄倉庫を備えつけ、避難施設としても活用できるようにした。
オークラとしてはタイで5件目のホテルとなる。同社は新型コロナウイルス禍前から、海外でのホテル事業拡大を進めている。なかでもタイなど5カ国を重点エリアと位置づけて、それぞれ5施設以上の拠点を持つことで「オークラ」ブランドの認知度向上につなげる戦略をとる。「オークラ」「ニッコー」など各ブランドの施設は2月時点で国内外に計79カ所で、今回の「グランドニッコー」ブランドではタイ初進出となる。
西松建設のほか、芙蓉総合リースと官民ファンドの海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)が出資。銀行借り入れも含めた総事業費は240億円を見込む。
西松建設は建設事業以外の収益源として不動産開発事業を強化している。オークラと22年3月に開業する「ホテルJALシティ富山」の開発で提携を始めており、国内でも今後ホテルなどの開発を加速する。
海外の不動産開発では18年に専門部署を設置し、タイなどで事業を手がけてきた。タイには1963年に進出して以降、政府開発援助(ODA)事業や日系企業の工場設備の施工などを手がけてきた。海外で100億円を超える大型開発投資は初となり、自社の営業拠点のあるタイやベトナムを中心に開発投資を模索する。