ANAやJR東日本、車いす客の乗り継ぎ支援で連携実験
全日本空輸(ANA)やJR東日本などは3日、車いす利用者が飛行機や鉄道などを乗り継ぐ際に各社が連携して支援する実証実験を始めた。利用者の移動経路などの情報を各社が共有し、駅構内の移動や乗車のサポートを円滑にする。足が不自由な人などでも、公共交通機関を利用しやすくする。
実証実験は東京モノレール(東京・港)とタクシーのエムケイ(京都市)も加わり、2月末まで実施する。車いす利用者と介助者の7組が参加する。参加者はJR山手線の巣鴨駅を出発し、浜松町駅で東京モノレールに乗り換え羽田空港に移動。ANAの大阪(伊丹)空港行きに搭乗し、空港からはタクシーで大阪や京都などの目的地に行く。復路も実験の対象となる。

利用者が航空券を予約する際、車いすの特徴や歩行能力といった情報を入力したのち、鉄道などを含めた目的地までの乗り継ぎ経路もANAのウェブサイトで検索する。同サイトから鉄道やモノレール、タクシーの各社に一括でサポートを手配できる。各交通機関の係員は予約情報や当日の位置情報をもとに移動を補助する。
車いす利用者にとっては、駅・空港内での移動のしづらさや乗車時の不便が公共交通を利用するハードルになっている。あらかじめ情報を共有することで各社のサポートを円滑にし、こうした問題を解消する狙いだ。JR東の技術イノベーション推進本部 データストラテジー部門の佐藤勲部長は、同日開いた説明会で「誰もがストレスなく移動を楽しめる世界をつくっていきたい」と話した。
ANAは障害者や高齢者などでも移動がしやすいように複数の移動サービスをつなげる「ユニバーサルMaaS」の実現を掲げる。平沢寿一上席執行役員は「社会全体で連携しなければ実現できない」と話し、他社との連携を広げてサービスの実用化を目指す考えを示している。