サービス連合、ベア「1%以上」を要求 3年連続
観光関連業界の労働組合で組織する「サービス・ツーリズム産業労働組合連合会」(サービス連合)は27日、2022年の春季労使交渉で賃金を一律に引き上げるベースアップ(ベア)の要求水準を「1%以上」とすると発表した。新型コロナウイルスの影響は長期化しているが、収束後を見据え賃上げの流れを維持したい考えだ。
ベア要求は9年連続で、「1%以上」は3年連続の水準。新型コロナ禍が広がる前の20年は「全ての加盟組合」を対象としていたが、21年に続き今回の労使交渉でも2年連続で「賃金改善が可能な加盟組合」とした。コロナ禍で賃金や一時金をカットされる労働組合も出ていることから、要求方針には「引き下げられた賃金水準の回復に取り組む」との文言を新たに追加した。
サービス連合の後藤常康会長は「新型コロナ禍で厳しい状況が続いているが、将来に向けて産業としての魅力を維持する必要がある」と指摘。足元で新たな変異型「オミクロン型」の感染拡大が続くなか3年連続1%以上のベア要求となったことについて、「交渉は一筋縄ではいかないと思っている」と語った。
サービス連合は01年7月に発足。宿泊や旅行、航空貨物業界の約200組合が加盟し、約4万3000人の組合員を抱える。中期的な賃金水準として「35歳年収550万円」を掲げている。新型コロナ禍では、ホテルや旅行業界が打撃を受ける一方、航空貨物業界では業績が伸びるなど業種ごとに業績に差が広がっている。
「オミクロン型」による感染拡大が続き、サービス関連の企業の業績への影響は一定期間続くとみられる。今後新たに企業側と労働条件の引き下げに関する交渉が必要になった場合は、将来の「回復条件」を設定することを方針に盛り込んだ。
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賃上げは賃金水準を一律に引き上げるベースアップと、勤続年数が上がるごとに増える定期昇給からなる。2014年春季労使交渉(春闘)から政府が産業界に対し賃上げを求める「官製春闘」が始まった。産業界では正社員間でも賃金要求に差をつける「脱一律」の動きが広がる。年功序列モデルが崩れ、生産性向上のために成果や役割に応じて賃金に差をつける流れが強まり、一律での賃上げ要求の意義は薄れている。