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航空大手の全日本空輸と日本航空が、新幹線を建設する独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」(横浜市)に従業員各1人を10月1日から出向させる。北海道新幹線の延伸工事の渉外などを担当するという。航空会社側は働く場の確保、機構には組織活性化の狙いがあり、長距離輸送のライバル同士がコロナ禍でタッグを組む。
全日空からは社内公募を経て、20歳代の客室乗務員が出向する。機構の広報部門に就き、北陸や九州新幹線の工事現場の様子をSNSで発信するといったPR活動を担う。
日航の出向者は60歳代のベテラン営業マン。北海道勤務が長く、経験を生かして北海道新幹線新函館北斗―札幌間の地下トンネル工事や建設残土の処分への地元説明などを行う。出向は2人とも1年間を予定する。
機構は昨年12月、2023年春を予定していた北陸新幹線の金沢―敦賀間の開業が工事の遅れで1年延期となったことを理由に、国土交通省から業務改善命令を受けた。事業を見直す中で人員不足や人事の硬直化といった課題が浮かび、外部人材の受け入れを進めようと、7月下旬に両社に打診した。
両社はコロナ禍で業績が低迷し、働く場の確保や人件費抑制に向けた社員の出向を進めており、承諾した。全日空は「出向者本人の成長と地域貢献につながる」とし、日航は「地方を元気にするには、交通ネットワーク全体を充実させていくことが大切」と説明する。