羽田空港で美術品競売 保税蔵置場活用は国内初
羽田空港の旅客ターミナルを運営する日本空港ビルデングは22日、保税地域の一種である「保税蔵置場」を活用した美術品のオークションを国内で初めて実施すると発表した。保税蔵置場に品物を置くことで関税などが留保されたまま保管でき、出品しやすくなる。空港の立地や保税管理のノウハウを生かし、アート関連事業を新たな収益源に育てる。
オークションは10月1日に羽田空港第1ターミナルで開催する。作品は保税蔵置場で保管され、9月28日~10月1日の下見会で実物を見ることができる。主催は美術品オークション会社のニューアート・エストウェストオークションズ(東京・品川)で、草間弥生氏、奈良美智氏など国内外の芸術家の作品が出品されるという。
これまで日本でのオークションに海外から出品する場合、作品ごとの輸入通関時に課税される点が出品のハードルになっていた。保税蔵置場を活用すれば関税などが留保された状態でオークションに出品できるようになる。2020年12月と21年2月の関税法基本通達の改正で、保税蔵置場でのオークションなどが可能となった。
新型コロナウイルス禍で旅客需要が低迷し空港運営事業者の収益環境は厳しい。日本空港ビルはコロナ後も見据えアート事業を含めた非航空事業を強化している。