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中国、デルタ株の感染拡大-コロナ対策でGDPへの影響必至

  • 少なくとも46都市が住民に不要不急の旅行を避けるよう呼び掛け
  • 7-9月GDP成長率見通し、6.4%から5.1%に下方修正-野村

中国での新型コロナウイルス感染再拡大で、夏季休暇シーズンの観光業や消費に悪影響が及んでいる。湖北省武漢市で2019年終盤にウイルスが最初に確認されて以来、最も広範な流行が見られ、景気への新たなリスクとなっている。

  当局は観光地閉鎖や文化イベント中止、旅客便の運休を急いでいる。わずか2週間のうちに感染力の強いデルタ変異株が32ある第1級行政区(省・直轄市・自治区)の半分近くで確認され、少なくとも46都市が住民に不要不急の旅行を避けるよう呼び掛けた。

Virus Safety Measures in Shanghai as China Reports More Local Cases

上海市(8月3日)

  野村ホールディングスは中国の7-9月(第3四半期)国内総生産(GDP)成長率見通しを従来の6.4%から5.1%に下方修正した。10-12月(第4四半期)も5.3%から4.4%に、21年通年も8.9%から8.2%に引き下げた。

  同社の中国担当チーフエコノミスト、陸挺氏は「政府が講じている厳格な措置が20年の春以降で最も厳しい旅行禁止とロックダウン(都市封鎖)につながる可能性がある」との見方を示した。

中国でデルタ変異株広がる-武漢大流行後の防疫戦略に最大の試練

  ナットウエスト・グループの劉培乾エコノミストは「7-9月のGDP成長率に一定の下振れリスクが生じるだろう。実際のインパクトは流行の広がりとソーシャルディスタンス(社会的距離)を保つ政策の程度次第だ」と述べた。

  中国は過去1年、散発的なコロナ流行に見舞われたが、その広がりはずっと小さく、迅速に封じ込めてきた。今回の感染拡大を受け、中国中央に位置する湖南省の景勝地、張家界の全ての観光拠点が閉鎖されたほか、同省の他の都市や、江蘇山西両省の都市も観光地閉鎖の措置を取った。

Covid-19 cases in Mainland China are picking up

  デルタ株の流行は脆弱(ぜいじゃく)な小売販売回復に重しであり、7-12月(下期)の経済成長への逆風だ。華興証券(香港)のマクロ・戦略調査責任者ブルース・パン氏は「賃金上昇はすでに足踏み状態で、年後半に消費の足かせとなるのは確実だ」と述べた。

China's consumption recovery picked up speed in 2021

  ブルームバーグ・エコノミクスのアジア担当チーフエコノミスト、舒暢氏は景気への打撃を和らげるために預金準備率が再び引き下げられる可能性が高まったと指摘した。

  厳しい対策を講じている北京市にも新型コロナは広がっており、同市は3日、河南省鄭州や江蘇省南京など23都市・地域からの鉄道旅客受け入れを禁止した。

中国共産党政治局、的を絞った景気対策の強化示唆-リスクに対応

CHINA-HEALTH-VIRUS

北京市(8月2日)

  ING銀行の大中華圏担当チーフエコノミスト、アイリス・パン氏は「サービス業や製造業の拠点となっている大都市で新たに感染が判明すれば経済活動に影響する」と語った。

原題:China’s Delta Outbreak Curbs Spending, Prompting GDP DowngradesChina’s Latest Outbreak Threatens to Derail Consumer Recovery(抜粋)

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