コロナ撲滅から共生へ、認識変化でアジアでも旅行再開期待膨らむ
Kyunghee Park、Layan Odeh-
ワクチン接種進展で「インフルエンザ」のように見なされる可能性
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豪首相はコロナ撲滅から管理にシフトする「ニューディール」約束
新型コロナウイルス感染症(COVID19)は撲滅というより、うまく管理しながら共生すべき対象だとの認識がアジアの一部の国々で広がり始めた。この変化を背景に、2021年は数カ月前に懸念されたほど旅行を断念せざるを得ない年ではなくなるとの期待が浮上している。
シンガポールのウォン財務相は今週の議会で、ワクチン接種率の高まりと治療の改善はCOVID19を「インフルエンザのような疾病」と考えられる可能性を意味すると発言。オーストラリアのモリソン首相も豪州の戦略を新型コロナ撲滅から管理にシフトする「ニューディール」を約束した。
一方でタイは、ワクチン接種済みを要件に観光客受け入れをプーケット島で再開した。香港では6日、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官がシンガポールとの間で長らく実施が期待されているトラベルバブル開始を見据え、両国がワクチン接種を参加の前提条件とすべきだと示唆した。また、感染再拡大が一段落したインドは国内線の運航能力を50%から65%に増やした。
かくして、年末に向けて旅行がもう少し自由にできるようになるとの期待が高まりつつある。アジアでは今のところ、ニューヨークの経済が再開し欧州の人気旅行地に人々が殺到するのをうらやましそうに眺めているしかない。それでも、クリスマスまでに再び国境を越えることができるのではないかという希望はある。
マスターカード経済研究所のアジア担当チーフエコノミスト、デービッド・マン氏は「これまで数多くの厳しい制限措置があった国々を含め、新型コロナというのは完全にはなくならず、管理しながら共生していくウイルスだという認識を目にしつつある」と話し、「特に予防接種が進んでいる所では、向こう6カ月から12カ月のスパンで見て、制限措置は緩和される傾向だろう」と付け加えた。
明るい兆しは航空座席数にも表れ始めている。航空情報会社OAGによると、1年余りにわたって横ばいだった輸送能力に今月プラスの兆しが見え始め、8月と9月の見通しはさらに良好という。
世界全体でも状況は明るくなりつつある。OAGのデータを利用するブルームバーグの週間フライト追跡によると、過去1週間に航空輸送能力は1ポイント強増え、2019年の水準の66%付近で推移。中国とロシアは同年のレベルを上回った。ただし、両国ともに米国同様、国内線市場が大きいためで、海外旅行は限られたままだ。
原題:
Covid Zero Rethink Puts Travel Back on the Table in Asia(抜粋)