JAL、23年度にLCC事業の利益率10%目指す ジップエア貢献

[成田市 30日 ロイター] - 日本航空(JAL)の豊島滝三専務執行役員は30日、2023年度に格安航空会社(LCC)事業で利益率10%を目指すと明らかにした。新型コロナウイルス収束後は、これまで収益の中心としていたビジネス需要より、価格志向の強い顧客層による観光需要や友人・親族への訪問需要が先に回復すると判断。傘下のLCC3社を強化し、収益改善を図る。
JALグループのLCCは、完全子会社で国際線中距離を展開するZIPAIR(ジップエア)、中国路線中心の春秋航空日本、豪カンタス航空と共同出資し、首都圏中心の国内需要を取り込むジェットスター・ジャパンの3社で、いずれも成田空港が拠点だ。
事業強化の一環として、JALは29日、春秋航空日本への出資比率を従来の約5%から66.7%まで引き上げ、連結子会社化。50%出資するジェットスター・ジャパンにも、出資比率は50%のままだが、財務体質を早期に改善するため、カンタス航空と共同で近々に追加出資する予定。
JALは昨年11月、公募増資などで約1800億円を調達。このうち100億円を春秋航空日本とジェットスター・ジャパンへの投融資に充てることを表明している。
豊島専務は30日の事業説明会で「JALグループのノウハウをLCC事業にも注ぎ込む」と指摘。早期回復が期待される需要をターゲットとする3社にリードしてもらうと説明した。その間に従来型の旅客サービスを展開するJALブランドの「フルサービスキャリア(FSC)を立て直し、23年度以降は(LCCとFSCの)両輪による新たな成長を描いている」と話した。
23年度のLCC事業の利益額(EBIT)は120億円を見込んでおり、利益率10%であれば、売上高は約1200億円となる計算だ。豊島氏は、目標利益額の「大半がジップエア」による貢献で、売上高も「半分以上がジップ」と想定する。高効率な機材運用や座席数、追加サービスによる運賃上乗せなどを駆使して高収益化するとし、特にジップエアは需要の旺盛な貨物でも「プラスアルファ押し上げられると思う」と述べた。
国内線の旅客需要は、21年度はコロナ前の7─8割、22年度に90─90%後半、と豊島氏はみている。このうち、観光需要は100%に戻るが、ビジネス需要は80%との見立てだ。国際線は「23─24年くらいにならないとコロナ前には戻らない」との考え。日本発の観光は23年度に80─80%後半、インバウンド需要は「22年度に80%に達し、23年度に90%を超えるレベル」と推測、「国内線に比べると厳しい状況が続くことを覚悟している」と話した。
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