富士山登山規制の5合目ゲート完成 山梨県が7月運用開始
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山梨県が今夏から富士山で実施する登山規制のための通行ゲートが17日、山梨側登山道の吉田ルート5合目に完成した。午後4時から翌午前3時は登りを通行止めにし、夜通し歩いて山頂を目指す弾丸登山を防止する。オーバーツーリズム(観光公害)対策として1日当たりの登山者数は原則最大4000人とする。
通行ゲートは開山期間の7月1日から9月10日まで運用する。5合目登山口に高さ1.8メートル、幅8メートル(開口部4メートル)のゲートが設けられた。
登山者は1人2000円の通行料が義務付けられ、5合目で支払いが確認されると通行証のリストバンドを受け取ってゲートを通過する。警備員が24時間配置され、山小屋の宿泊予約証明がある場合はゲート閉鎖後も通行できる。
県は5合目の通行料徴収窓口の混雑緩和のため、ネットで事前決済できる予約システムを5月20日から運用し、登山者上限1日4000人のうち3000人を予約枠に設定している。
静岡県側の登山道3ルート(須走、御殿場、富士宮)では、静岡県が登山者にルールやマナーの動画の事前視聴を求め、弾丸登山などの抑制を図る実証実験をする。静岡側の開山期間は例年7月10日から9月10日まで。
富士山登山者は訪日客も多いため、山梨県の長崎幸太郎知事は都内の日本外国特派員協会で17日に記者会見し、登山規制の意義について海外メディアに説明した。登山者が静岡県側のルートに流れる可能性については「われわれとしてはまず山梨県が果たすべき役割を果たすことが何より重要だ」との考えを示した。
「今年は両県でそれぞれのやり方をやってみて、登山シーズンが終わったら両県で改善策の知恵を出し合いたい」と強調。通行規制のあり方をめぐり静岡県と連携していきたいとの考えを示した。