立山アルペン訪日客、富山県内の周遊少なく 政投銀調べ
山岳観光路の立山黒部アルペンルート(富山県・長野県)を訪れる訪日客は、岐阜県の高山市周辺にも足を向けるが、富山県内を周遊する例が少ないことが日本政策投資銀行の調査で分かった。同ルートは年間の経済波及効果が110億円超と富山県の観光の柱。県内に相乗効果を波及させることが課題と指摘している。
ドコモ・インサイトマーケティング(東京・豊島)の携帯位置情報データをもとに分析した。アルペンルートの富山側の起点がある立山町に来たインバウンド(訪日外国人)のうち、古い街並みで知られる岐阜県高山市も訪れた人が63.7%、世界遺産の合掌造りがある白川郷(岐阜県白川村)を訪問した人も62.1%に達した。
一方、富山市は46.9%、富山県黒部市が16.3%にとどまった。アルペンルートの利用が多い台湾客は中部国際空港(愛知県)から入国し、高山市などを訪れ、同空港から出国する例が多い。政投銀は、富山県内の観光スポットを周遊する交通手段の整備や、高山市など他の観光地と差別化できる魅力づくりが必要としている。
立山黒部アルペンルートの経済波及効果額は、宿泊や飲食などの直接効果に加え、食事などの原材料額、関わる雇用者の所得といった金額を足し合わせた。2019年度の富山県全体の観光業の波及効果の7%程度を占めているという。
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