京都駅と主要観光地結ぶ500円の「観光特急バス」 6月から全国初導入 オーバーツーリズム解消へ

京都市役所=京都市中京区
京都市役所=京都市中京区

京都市は26日、再燃しているオーバーツーリズム(観光公害)対策として、停留所を絞った上で主要観光地へ向かう「観光特急バス」を6月から導入する方針を明らかにした。運賃は市バスの均一区間運賃の約2倍となる500円に設定し、市民と観光客の市バス利用を分離することで混雑の緩和を図る。オーバーツーリズム解消に向けた国の規制緩和を活用する。国土交通省によると、こうしたサービスの導入を表明した自治体は全国初。

京都市交通局によると、観光特急バスはJR京都駅を出発。停留所の数を絞り、清水寺や祇園、銀閣寺などの主要観光地を巡回するなどの案が浮上している。市は今後、ルートの検討を急ぐ。

運賃は大人500円(小児250円)に設定。通常の市バスの均一区間(230円)の約2倍となる。また観光客のニーズが高い「地下鉄・バス1日券」(1100円)での乗車も可能とすることで、市民が普段使う路線とのすみ分けを進める。

国は昨年10月、オーバーツーリズムの対策パッケージを決定し、観光名所への急行バス導入などを盛り込んだ。これを受け国土交通省は昨年12月、目的に合わせて柔軟に運賃を設定できるよう、道路運送法施行規則を一部改正。バス運賃の決定などは原則認可制だったが、急行バスを導入しやすくするため、定期運行の観光路線については届け出だけで運賃を設定できるよう緩和した。

京都市では新型コロナウイルスの5類移行に伴い、公共交通機関が観光客で混雑するようになり、市民が市バスに乗れないなどの問題が起きていた。

新人5人の争いとなった今月4日投開票の京都市長選を制し、この日市役所に初登庁した松井孝治市長は記者会見で「京都の魅力に引き寄せられて、多くの観光客が訪れることは大変ありがたいこと。観光と市民生活の両立という深刻な課題に取り組んでいかなくてはならない」と語った。

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