石川・小松市、29日から市街地でライドシェア 別府は6月
石川県小松市は、一般ドライバーによる有償送迎「ライドシェア」を市街地で始める。ライドシェアはこれまで過疎地を中心に認められていたが、2023年末の制度改正で、都市部でもタクシーが営業しない時間帯などに運行できるようになった。観光客や地元住民の足を確保する狙いがある。大分県別府市も6月から始める。
22日、各地の首長らが国土交通省で記者会見して明らかにした。小松市は29日から、タクシーが不足する午後5時から午前0時まで市内全域で運行する。市民10人程度が運転手として登録しており、ドライバー数を順次増やす。スタートアップのパブリックテクノロジーズ(東京・渋谷)が手がける配車アプリを使う。運行管理は地元のタクシー会社が担う。
3月に延伸する北陸新幹線は小松市にも停車し、観光客の増加が見込まれる。能登半島地震の被災者の利用も想定する。輪島市などから約1000人が避難し、車を持たない人もいて日常の足に困る人が出ていた。
自治体やNPOが手がけるライドシェアはこれまで過疎地を中心に認められていた。運転手不足のため市街地でも夜間はタクシーやバスが運行していないケースがあり、政府は23年12月、特定の時間帯を交通空白地としてとらえ柔軟に運用できるようにした。小松市はこの仕組みを採用した。
対価の目安はタクシー料金の2分の1から8割に引き上げられた。自治体などから委託を受ければ株式会社が参画できることも明確になった。小松市の宮橋勝栄市長は「(マイナス)イメージが先行してタクシー会社と話しにくい部分があったが、人手不足は切実な課題で理解を得ながら進めた」と説明した。
別府市は定員10人程度の乗合タクシーを使い、定時定路線型で始める。富山県南砺市や京都府舞鶴市は、4月から利用料金を定額にして地域を限って運行する。熊本県高森町は10月から町の中心部で始める。タクシーが不足して配車できない時に、ライドシェアを提供する「タクシー優先配車」の仕組みを導入する。
ライドシェアをめぐっては、4月からタクシー会社が一般ドライバーを管理し、都市部や観光地でタクシーが不足する地域・時間帯に限って認める制度も始まる。
一般ドライバーが自家用車を使い有料で顧客を送迎する「ライドシェア」。現行法では「白タク」にあたるとして原則禁止となっていますが、解禁を巡る議論が活発になっています。最新のニュースをまとめました。
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